台風備え放水始まる 下名栗の県営有間ダム

 入間川の洪水調整機能などを有する飯能市下名栗地区の有間ダム(名栗湖)で=写真=、台風などの大雨に備えダムの空き容量を確保する「洪水期制限水位」のための放水が21日から始まった。

 有間ダムは、入間川支流の有間川を堰き止め、昭和61年に完成した治水、農業、飲用など多目的の埼玉県営第1号ダム。堤体は首都圏では珍しい、土砂や石を積み上げたロックフィル形式で建設されている。

 毎年、台風シーズンに入る7月1日から9月30日までの間が洪水期制限水位の期間。

 これは7月からの3か月間、流域で大雨が降った時に流入してくる水をダムに溜めるため、ダムの貯水量を事前に減らしておき、その後、少しずつ放水をして下流河川の急激な水位の上昇を防ぐという治水上の貯水調整。

 ダムの有効貯水量は725万立方メートルだが、洪水期制限水位の期間中は440万立方メートルの空き容量を確保するため、貯水量を285万立方メートルに下げる。

 現在、ダムからの放水量は毎秒0・7トン。今後、県は段階的に放水量を増やしながら、7月1日までに定められた貯水容量とする。

 ダムの総貯水容量は760万立方メートルだが、上流の山々から押し流されてきた35万立方メートルの砂が湖底に堆積しているため、有効貯水容量は725万立方メートル。