避難所運営をシミュレーション 日高の新人職員研修

カードに書かれた情報をもとに、協力して避難者の配置を行う新人職員たち

 日高市は、平成30年度の新規採用職員17人と29年7月採用の5人の計22人の新人職員を対象に市役所で5日間の研修を行った。最終日の6日には災害時対応として防災カードゲーム「HUG(ハグ)」を使った避難所運営体験に取り組んだ後、谷ケ﨑照雄市長の講話に耳を傾けた。HUGはカードを使って避難所開設を模擬体験する内容で、新人職員たちは公平・平等の考え方を大切にしながら、要援護者に配慮した対応を、市長講話では、谷ケ﨑市長から市職員としての心構えを学んだ。

 新規採用職員研修は2~6日の5日間にわたり、地方自治、行政事務、接遇、人権などをテーマに行われた。最終日に行われた災害時対応研修では、静岡県危機管理局が企画・開発した避難所運営ゲームHUGを今回初めて導入した。

 HUGは、避難者の年齢や性別、国籍、それぞれが抱える事情が書かれたカードを使い、要援護者に配慮しながら、避難所の体育館や教室に見立てた平面図に避難者を配置していくもの。

 真冬にマグニチュード8の地震が発生したとの想定で始まり、新人職員は3つのグループに分かれ、カードに記された情報を読み上げ、高齢者や障害者、認知症の人や体調不良の人などに配慮しながら適切な部屋割を考えた。また、ペットの配置やゴミ捨て場の設置、取材対応や「首相が訪問する」などの起り得る様々な出来事への対応などを模擬体験した。

 配置終了後は、グループごとの配置の違いや判断に迷った点などを話し合い、市政情報課に配属された弓削多真由さん(22)は、「災害時には受け身では対応が追い付かない。常に次の事態を想定し、色々なことに配慮しながら優先順位を考え、周囲の人々と協力しながら課題を解決していく必要性を学んだ。日頃の業務にも役立つ部分があると感じた」と感想を述べた。

 その後は、研修の締め括りとして市長講話が行われ、テーブルを囲んで谷ケ﨑市長の話に耳を傾けた。

 谷ケ﨑市長は新人職員を前に「1日も早く仕事に慣れて、自分の力を発揮できるよう頑張って欲しい」と切り出し、「市の予算書をよく読み、予算の成り立ちを調べていくと、自分たちがどういう仕事をするのかが良く分かる」として、「未来につなぐ予算」をテーマに編成した今年度の予算概要や「子育て応援」「住環境整備」「安心安全なまちづくり」「人口減少対策」の4つの重点施策を説明。

 「私は子どもたちに、自分のふるさとを誇れる人になって欲しいと常々言っている。2016年には高麗郡が建郡1300年を迎え、昨年は天皇皇后両陛下の行幸啓があった。こうした歴史や素晴らしい出来事を未来につなげていかなければならない」。

 「日高市のみならず、全国的に大きな課題となっているのが高齢化と人口減少。人口が減ると働き手も生産量も減り、経済的にも悪循環に陥ってしまう。人口を増やすことは難しいが、減り方を緩やかにしていくことは可能。高齢化については、日高の65歳以上の高齢者は約31%。こうした方々に健康で働いてもらうことが、高齢化を乗り切る施策の柱になると思っている」。

 また、市民対応や仕事への姿勢として「温かい心で、笑顔で接して欲しい」「スピード感を持って仕事をして欲しい」としたほか、「約束を守れる、信用される人になって欲しい」「将来を切り開くには運も必要だが、運を呼び込むには徳を積むこと、縁を大事にすることが大切」などとアドバイスを送った。