日高の空き家605件 外観目視で実態調査

 日高市は、市内の空き家の状況を把握し、今後の空き家対策を検討するための基礎資料とするため、空き家の現地調査を行った。水道が使用されていない市内全域の戸建住宅、店舗併用住宅、長屋住宅を含む共同住宅など計990件を空き家候補とし、敷地内に立ち入らない外観目視による調査方法で実施。その結果、空き家と判断した件数は605件で、住宅全体の2・6%、このうち有効活用可能と判断したものは377件で、市は今後、空き家の所有者への意向調査を行い、有効活用可能な空き家については、市が創設した空き家・空き地バンクへの登録を促すなど有効活用の方向へ誘導。管理不十分で周辺に影響を及ぼすなどのおそれがある「特定空家」となる可能性のある空き家については所有者に状況改善を求め、改善の意思が見られない場合は市の条例に基づいて助言や指導、勧告などの必要な措置を講じるとしている。

 調査は昨年6月から今年1月までを期間とし、空き家候補として水道使用者情報に基づき、使用されていない(閉栓している)家屋と市が把握している物件の計990件を対象とした。

 敷地外からの外観目視で実施し、まず、「居住者がいた」「生活音がした」「洗濯物が干してあった」「照明がついていた」、周辺住民からの聞き取りにより居住者有と判断したものや「既に建築物が消失していた」などのケースは空き家ではないとして除外。

 また、「生活感はないが、車両や自転車などが停めてある」「玄関周辺が生前としていて使用している気配がないが、庭の樹枝が手入れしてあり雨戸が開いている」「電気メーターが止まっているが生活感がある」「生活感はないが玄関や窓があいている」「ゴミの放置が見られるが生活感がある」などのケースは空き家と判断できないとして、判断を保留し、今後実施する意向調査の結果により判断することとした。

 軽微な改修で活用可能と判断した物件を「有効活用可能」、建築物の屋根や壁、塀、樹木、物置きなど風雨時などに危険と判断した物件を「保安上危険」、浄化槽の放置や排水等の流出により臭気が発生していたりゴミの放棄などが見られる物件を「衛生上有害」、窓ガラスが割れたまま放置されていたり、建物を立木が覆いうっそうとしている、壁や塀に落書きやいたずらが見られる物件を「景観不調和」、庭木が放置され通行の妨げや隣家に影響を与えている、動物が住み着き糞尿や鳴き声などで周辺住民の生活に支障を及ぼしているなどの物件を「放置不適切」と、該当する種別に分類した。

 その結果、有効活用可能と判断される空き家は377件で、空き家に占める割合では62%だった。また、倒壊など保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、著しく景観を損なっている状態、生活環境の保全上不適切な状態などにより、固定資産税の優遇措置が受けられなくなるなど国の空家等対策の推進に関する特別措置法で定める「特定空家」に指定される可能性のある空き家は152件、約25%あり、今後の経過観察が必要とした。

 市は今後、現地調査に基づいて判断した605件の空き家に、外観目視が不可能だったなどの理由で判断が困難だった物件86件を加えた691件の所有者にアンケートによる意向調査を実施し、「空き家として認識しているか」「売却等の活用に前向きか」などの意向を調査する。

 また、特定空家に指定される可能性のある物件については、意向調査と合わせて状況改善を求める。所有者に改善の意思が確認できなかった場合は、市の「空き家等の適正管理に関する条例」に基づく助言・指導、勧告・命令などの必要な措置を講じる。

 有効活用可能と判断される空き家については、意向調査の結果、活用に前向きな所有者の意向が確認できたものは市の空き家・空き地バンクへの登録を促すなど積極的に有効活用の方向へ誘導する。

 市が今年1月に創設した空き家・空き地バンクは市内の空き家・空き地を有効活用し、市内への定住促進や地域活性化を図るため、所有者から提供された空き家・空き地の物件情報を市ホームページ等を通じて紹介し、市内への居住を希望する人とのマッチングを図るもので、物件の販売や賃貸を希望する人の登録、購入や借りたい人の利用申し込みを受け付けている。