大切なのは「心の冷えとり」 飯能の内科医・小室さんが出版

著書を手にする小室さん

 飯能市能在住の内科医・小室朋子さん(43)の著書「心の冷えとり~人生を変えるのに必要な38のレッスン」(WAVE出版)が出版され、仕事や子育て・介護など社会や家庭でいくつもの役目を担い、心や体の不調に悩む女性層を中心に話題を呼んでいる。

 小室さんは、同市八幡町にある医療法人徳明会小室クリニックの理事長・小室舜一さんの次女。これまでに実家のクリニックをはじめ、東京慈恵会医科大病院や個人病院などの勤務医として延べ約4万人の患者を診察してきた。

 原因不明の体調不良の患者から終末期患者まで、幅広い年代のさまざまな症状に苦しむ人々に寄り添う中で、病気や体の不調の多くが、心の不具合が原因となっていることを確信。「“心の冷え”を取り除く手助けになれば」と、これまでブログなどを通じて発信してきた内容 をもとに書籍化した。

 「私たちは親や周囲の人から、“○○すべき”、“○○でなければならない”といった固定観念を受けながら成長してきた。それは人生のあらゆる場面で私たちをコントロールしようとする“呪い”のようなもの。そうした概念に縛られたまま生活していると、いつの間にか本来の自分を見失い、心が冷えて固まり、やがて症状となって体に現れる」。

 小室さんは「心は体の不調を通してあなたにメッセージを送る」という視点に立ち、「心や体が取り返しのつかない病気になる前に、心身に無理をさせたり、他人に振り回されたり、嫌なことを頑張り続けることをやめ、自分の素直な欲求に耳を傾けることで、本来の健康的で幸せで、自分が心から納得できる自分らしい生き方ができるようになる」と話す。

 著書では、巻頭の「心の冷え症」チェックリストに始まり、処方箋その1~5として、「心のコリをほぐす準備運動」「“本当の自分”の声を聞く」「人間関係を根こそぎラクにする」「親子関係の適正温度」「“自分で決めた人生”で幸せになる」の項目に沿って、心を解きほぐし、本当の自分に素直に向き合うまでの方法をアドバイス。

 また、「心の冷えが体に出る症例」として、診察した患者の具体例などをもとに「痛がる体」「頭痛持ち」「喉の奥が詰まる感覚」「長引く喘息」といった症状や改善策を紹介している。

 「やるべきことが多すぎる、目指すべき目標が高すぎる、評価されることが怖い。疲弊しきって心も体もすり切れてしまっている人が、冷え切った自分の心を整えることによって、自分の内側から治療に向かうことができたら」との思いで執筆を進めた小室さん。自分自身にも同様に心が冷え切って苦しんだ時期があったという。

 診察では、できるだけ患者と会話をすることを心掛ける。社会や家庭で一人何役もこなしながら頑張っているのに「報われない」「生きづらい」といった女性たちが、「私は大丈夫」と強がりながらも話すうちに涙を流す姿を何度も目にしてきた。症状を通じて自分の心が無理をしていることに気付くことが、「心の冷えとり」の第一歩という。

 「他人によって癒されたい、治してもらいたいと願っても、自分自身よりうまく癒し、治せる人はいない。自分を労り、慈しむことができるのは自分だけ。本書では多くの人に共通する悩みや、つまずきやすい部分、生きづらさなど、私なりに考えてヒントを書いた。心身ともに健康で、自分らしく生きることへのきっかけになれば」と話している。