飯能市は、民間から公募していた「阿須山中(やまなか)土地有効活用事業」(約17ヘクタール)の最優秀提案事業者に、市内でサッカーやダンスのスクール事業を展開する「一般社団法人飯能インターナショナル・スポーツアカデミー」(木下聡一郎理事長)を選定した。天然芝グラウンドの公式戦可能なサッカー場と、大規模太陽光発電施設を設けるとした提案で、今後、事業実施に向けて提案者と市とで、事業内容の詳細など詰めの協議が行われることとなる。

 提案公募の対象となった山林は、阿須交差点南方の阿須自治会館南西方向に位置する市と開発公社所有の「山中」。一帯は、高低差がある急傾斜地で、区域の北側を沢に沿う形で東西に未舗装の市道が延びる。南側は入間市に隣接している。

 広さは東京ドーム約3・6個分、約17ヘクタールあり、このうち市開発公社が9・4ヘクタール、市が7・5ヘクタールをそれぞれ所有している。

 阿須山中土地有効活用事業者公募は、土地の賃貸借を民間と結ぶことで市の財源を確保し、市の推し進める地方再生の取り組みを推進しようとするのが目的。

 市が所有する未利用の建物や土地について、民間から活用方法の提案を募るとして昨年9月に市が制度化した「市有資産に関する民間事業者提案制度」に基づいた。

 土地は、市と開発公社所有分を一体的に貸し出し、17ヘクタールのすべてを利用することが条件。賃貸借期間については実施する事業によって異なり、植樹目的にした事業は50年間、建物の所有を目的にしたものは30年間。土地全体の最低賃借料は、月額7万2660円などと設定された。

 スポーツアカデミーが提案した事業の概要は、山中に公式戦が可能な縦100メートル以上、横68メートル以上の天然芝サッカー場と、発電能力9~11MW(メガワット)のメガソーラー施設を建設する。事業のスケジュールは不明。

 再生エネルギー利活用等の太陽光発電ソーラーパネルの設置や、サッカーグラウンドの施設等の維持管理などで新たな雇用創出を図る。施設では、サッカー強豪クラブの「ボカ・ジュニアーズ」(アルゼンチン)の育成プログラムを取り入れ、世界に通用する選手を飯能から輩出する──などとしている。施設の運営費などについては、メガソーラーによる売電収入を活用する考えだ。

 提案書に示されている事業の詳細については、明らかにされていないが、現地までの進入路(作業道)、上下水道などインフラ整備をどうするかなど、課題は少なくない。

 現在、現地までのアクセスとしては県道から阿須自治会館前の市道を利用するほか手段はないが、事業化となった際はルート上の墓地や住宅地を抜けなければならず不適。これらの点も含め、市は今後、スポーツアカデミー側と協議に入ることにしている。

 阿須の山中は、市土地開発公社が自然公園整備の名目で平成3年と4年の2回に分け、約14億円で先行取得した土地。が、取得したものの事業が進まず、手付かずの状態(塩漬け)が長期間続いていることなどから、国からの公社健全化指導もあり、現在、市が平成24年度から10年計画で毎年2億円を予算化し、公社から買い戻しを進めている。