地元材で作る木製カップ その名も「飯能ククサ」

 

5種類の木で製作された木製カップ

 飯能市下名栗の認定NPO法人名栗カヌー工房(山田直行理事長)がヒノキなどの無垢材を削り出して製作する木製カップ「飯能ククサ」に、樫とコナラ材バージョンが生まれた。これにより素材だけで5種類、サイズも含めると、ククサの商品構成は7品目になった。すべて飯能市内の山林などから切り出された木材により生まれた、ぬくもり感が漂う同木製カップは、自然を愛する人や野外活動を楽しむ人たちなどを中心に人気を集めている。

 ククサとは、フィンランドの伝統工芸品の一つ、木製カップのこと。ククサを贈られた人は幸せになると言い伝えられている。

 カヌー工房では、工房利用者からの要望をきっかけに、ヒノキの無垢材を使ってククサの開発に乗り出し、昨冬に「飯能ククサ」の名称で、工房商品のラインナップに加えた。

 サイズは直径約8センチで高さ約6センチ(標準サイズ)。取っ手も付いた一体型で、取っ手については、カヌーを漕ぐ時に使う「パドル」と呼ばれる櫂の先端(手で持つ側)をデザインした。

 白樺のコブを刳り抜いて作るのが本場のククサ。が、森林面積が市域の約75%を占め、そのうちの約8割がスギ、ヒノキの針葉樹の森という飯能らしさを出すため、身近なヒノキ材で仕上げた。

 ヒノキ材は、独得の香りがあるので、無塗装状態での食器としての利用については難しい面がある。しかし、木目の美しさを失わせたくないため、工房はあえて表面を地のままにした。

 木製なので落下しても割れず、使い込むほどに全体が味わい深く変化していくのがククサの特徴。購入者の中には飲食用に拘らず、室内に居て自然が感じられる〝森の置き物〟として卓上などに飾ったり、小物入れにして利用している人もいるという。

 ヒノキ製の商品化後、ケヤキと山桜でも標準サイズでククサを製作した工房だが、今回、新たに樫とコナラ材製を工房商品に追加した。針葉樹のヒノキと比べ、樫、コナラなどの広葉樹は色目が濃く、重量感があり、「本場のククサと比べても、そん色ない仕上がりになった」(理事長の山田さん)という。

 価格は、標準サイズで針葉樹の香りが漂うヒノキが4000円で、山桜、ケヤキ、樫、コナラがそれぞれ6000円。

 このほか、高さをそのままに、口径を約13センチに広げたヒノキ製が6000円、直径約9センチで高さ約10センチのコナラ製が1万円。

 ヒノキ製のククサは、飯能市のふるさと納税の返礼品にも選定されており、寄付金1万4000円以上で寄付者に届けられている。

 飯能ククサを手作りする山田さん(68)は、「ククサに使用した木材は、すべて飯能市内の山などから切り出されたものです。それを我々がすべて手作りしています。現在、工房で販売しているサイズ以外にご希望があれば、ご注文に応じます。飯能の山は宝です。その宝が無駄にならないよう、知恵を出してできる限り生かしていきたい」と話している。

 問い合わせは、認定NPO法人名栗カヌー工房(979・1117)へ。