渡辺署長(左)、梨木団長(右)に囲まれ感謝状を手にする青柳さん

渡辺署長(左)、梨木団長(右)に囲まれ感謝状を手にする青柳さん

 飯能消防団(梨木幹雄団長)の女性消防団「は」組に所属する青柳慧己(えみ)さん(32)=坂戸市在住=が、上尾市の入浴施設で食べ物を喉に詰まらせ心肺停止状態となった高齢者に心臓マッサージを施して命を救い、上尾市消防本部から感謝状の贈呈を受けた。飯能消防団の出初式会場で埼玉西部消防局飯能日高消防署の渡辺和義署長からその勇気ある行動が紹介され、青柳さんは「実際に急病人に遭遇したのは初めてだったが、消防団で学んだ経験が役立ち、冷静に対処できた。本当に助かって良かった」と振り返った。

 青柳さんが急病人と遭遇したのは昨年10月28日。母親と上尾の入浴施設に出掛け、座敷の飲食コーナーで食事をしていると、近くのテーブルにいた5人家族のうち高齢者の男性の様子がおかしいことに気付いた。やがて男性は苦しそうに横になり、家族が店員に救急車を呼ぶよう求めたため、青柳さんは思い切って「大丈夫ですか」と声をかけたという。

 近付くと男性は既にぐったりしており、顔色は真っ青、青柳さんはすぐに呼吸と脈拍を確認したが、いずれも確認できなかったことから、すぐに心臓マッサージを開始した。

 日頃の訓練同様、周囲の人々に協力を求め、店員にAEDを持ってきてもらうよう依頼。AEDを待ちながら心臓マッサージを続けたところ、幸いにも男性は1~2分で息を吹き返した。

 次に男性の体を横向きにして口の中の異物を除去、男性の喉にはマグロのぶつ切りが詰まっていた。「わかりますか」と声をかけると、かすかに反応があったため一安心。駆けつけた救急隊員に男性を引き渡し、状況を詳しく説明した。

 命を救うことができて良かったと安堵した青柳さん。その後しばらくして、上尾市消防本部から感謝状を贈呈したいとの連絡を受けた時には「私に感謝状なんて、まさか」と驚いた。

 青柳さんは平成22年4月に発足した女性消防団「は」組の発足当初からのメンバーで、今年で8年目を迎える。

 入団当時は飯能市美杉台に住み、狭山市の事業所に勤務。事業所に備えられた屋内消火栓の技術を競う狭山市の屋内消火栓操法大会に会社の代表として出場した際、初出場で優勝を飾り、その後も5年間出場を続けた経験があり「せっかく身に付けた消防の経験を何か役立てることができないか」と思っていた矢先、飯能消防団の女性団員募集のポスターを見つけ、迷わず入団を決めた。

 消防団では、普通救命講習の指導や自主防災組織の普及啓発、幼稚園や高齢者施設で火災予防の寸劇披露など予防活動を中心に活動。女性団員のリーダーとして、坂戸市に転居した現在も活動のたびに飯能へ通っている。

 今回の出来事について、飯能日高消防署の渡辺署長は「一刻を争う状況にあって、適切な応急処置を施して命を救った。普段訓練をしていても、いざという時に適切な行動が取れるというのは、本当に勇気が必要」と称えた。

 青柳さんは「今まで自分がやってきたことが人の役に立っているのか、時々不安に思うこともあったが、今回、人の命を救うことができて本当に良かったと感じた。これからも消防団活動を通じて救急や防災に関する知識を深め、自分の経験を交えて市民に伝えていけたら」と話している。