周囲の山々が音響効果を生み、湖面は光の瞬きを映し出すなど、最高の花火大会会場の名栗湖

周囲の山々が音響効果を生み、湖面は光の瞬きを映し出すなど、最高の花火大会会場の名栗湖

 山峡に破裂音がこだまし、夜空を鮮やかに彩る晩夏のイベントとして人気を集めながらも、平成11年度で中止となった「名栗湖花火大会」の復活を願う声が、地元を中心に高まりを見せている。10月には、飯能市議会の野田直人議長宛てに「名栗湖花火大会復活に関する陳情書」(代表発起人・塩野貴司)が、市自治会連合会名栗支部長らが名を連ねた発起人会から提出されたほか、市議会12月定例会でも栗原義幸議員(公明党)が再開の考えがないか、執行部を問うている。

 名栗湖花火大会は、村制100周年を村挙げて祝おうと、当時の名栗村(柏木正之村長)が、平成2年度に企画した行事。

 当初、打ち上げ花火用の費用を村が予算化し、100周年記念の単独事業として実施。が、継続を望む声が多数寄せられたことから、その後、観光協会が引き継ぐ形で、村からの補助金を下地に、事業所や個人から協賛金を募りながら費用を調達し、継続した。

 同花火大会は、夏休み最後の週末の名栗村最大のイベントとして広まり、最も多い年で県内外から2万人が訪れ、花火に歓声を上げるとともに、「これで夏が終わる」と、移ろう季節に思いを寄せた。

 事業最終年の11年度は、村が450万円を主催団体の観光協会に支出。観光協会も村内外から約400万円の協賛金を集め、名栗湖右岸からスターマインを含む約2000発をこれが見納めとばかり、華々しく打ち上げた。

 花火大会の中止は、村の行財政改革のあおり。村は財政難を乗り切るため、取り扱う補助金、負担金の見直しを行い、廃止を含めて統合、削減などの措置を講じた。公金支出の廃止対象事業にこの花火大会も加えられ、「3尺玉」も上がった時もある山間の村の8月最終週末のビッグイベントが終焉を迎えた。

 名栗湖を取り囲むように連なる山襞に反響する迫力のある破裂音、漆黒の夜空を彩る火花と、それを映し出す湖面。周囲の自然環境が打ち上げ花火の効果を一層際立たせる花火大会を見たいために、里帰りする者も少なくなかったという。

 花火大会は初年度が村、その後の9年間は観光協会主導で行われた(10年度は、名栗湖周回道路壁面崩落の復旧工事で中止)。

 奥武蔵地方の夏の最後を飾る風物として定着し、村内への経済効果ももたらした花火大会。17年1月1日の飯能市との合併の際にも復活を求める声が地区内から出たが、実現することはなく、現在に至っている。

 今回、復活を求める陳情書を野田議長に提出したのは、塩野さん49を代表発起人にして小澤正幸さん、町田貞憲さん(自治連名栗支部長)、石井克己さん(前自治連名栗支部長)の発起人3人の計4人。

 「名栗地区の活性化と名栗地域に住んでいる若い世代の人たちの夢を叶え、名栗に住んで良かった、住みたい地域にするためにも」と、名栗湖花火大会を飯能市の事業として開催してほしい旨、6912人(9月15日現在)の署名を添えて要請した。

 名栗地区の人口は約1870人(9月1日現在)。署名活動には、多数の地区外在住者が賛同した。

 塩野さんは「名栗湖花火大会は音が凄く、大勢の人出で、今も強いインパクトが残っている。地区外に出た人が戻って

きたり、地区が元気になるような花火大会をもう一度開催したい。署名は継続していて、現在8000人を超えている」と話している。