飯能市議会12月定例会(野田直人議長)は8日最終日を迎え、メッツァ事業に関する発展都市費「地方創生推進事業」2億円、ムーミンライセンス使用料を含むふるさとはんのう応援事業費7021万円、障害者自立支援事業費1億3603万円など合計5億2950万円を追加し総額334億438万円とする平成29年度一般会計補正予算案や、行政機構改正条例など18議案と、最終日に追加提出の人事案1件、条例改正に伴う議員提出1議案など合計21議案を原案通り可決、閉会した。しかし、市がメッツァ事業に2億円を出資する発展都市費を含む補正の採決は、起立採決となり、賛成議員11人、反対議員7人という拮抗した多数決での可決成立となり、さらに大久保勝市長の閉会時の発言を巡って、議員から怒号が飛ぶ一幕もあった。メッツァの概要、同事業を巡る今議会での質疑・討論の流れを2回にわたって掲載する。

 ■北欧のテーマパーク

 「メッツァ」は、宮沢湖周辺で建設が進められている北欧時間の流れる森と湖のムーミンのテーマパーク。北欧のライフスタイルを体験できる『メッツァビレッジ』(16万3000平方メートル)と、ムーミン物語を主題とした『ムーミンバレーパーク』(7万3000平方メートル)の2つで構成され、平成31年春グランドオープン(メッツァビレッジは30年秋開園)予定。

 メッツァビレッジは、無料で誰もが利用できる自然豊かな公園機能を維持し、新鮮な地元野菜や工芸品などを販売するマーケット、貸しボート場、レストラン棟などが建設される予定。 

ムーミンバレーパークは、ムーミン一家とその仲間たちと出会い、ムーミン屋敷や複数のアトラクション、物語に登場する灯台や水浴び小屋のほか、原作者のトーベ・ヤンソン氏の思いが感じられる施設などが計画されている。

このメッツァ事業を推進するのは、投資銀行と企業投資業務を行うフィンテック・グローバル社=フィ社(東京虎ノ門、玉井信光社長)。

フィ社から用地を取得し、バレーパーク内の有料アトラクション施設を開発・保有する目的のために飯能地域資源利活用合同会社(地域SPC、飯能市仲町)が設立されている。

このアトラクション施設等の運営は、フィ社の連結子会社の株式会社ムーミン物語(ロバート・ハースト社長)が、地域SPCから賃貸して行う形。

SPCは、不動産市場を流動化させるための仕組みで、フィ社や、ムーミン物語社に万が一の事があっても、SPCは倒産隔離されているため両社の影響を受けず、SPCが所有する用地、アトラクション施設は、SPC出資者の手元に残るという。

そのため、事業に魅力を感じる投資家は、安心して出資することが出来、地域SPCは、開発費などに必要な投資資金をより多く集められる。

 今回、補正で組まれたメッツァ事業関連費は、この地域SPCへの5000万円の出資と、ビレッジ内トイレ関連等の事業負担金1億5000万円の合計2億円。

 ■トイレ等設備負担金

 今議会で、メッツァ事業には既に37億円の経費が掛かっている事が明らかにされた。そのうち、誰もが利用できるビレッジ内のトイレは、給水・排水等も合わせた関係設備におよそ3億円の費用が掛かっているという。市は、西武鉄道撤退後、市民から同湖周辺に公衆トイレの設置要望が多かったことや、公共公益性に鑑み、トイレ等整備費用の約半額1億5000万円を「メッツァ事業負担金」として補正に盛り込んだ。

 ■賃貸料5%、35年間

また、市は、オール飯能体制で事業をバックアップし、メッツァ事業により多くの投資を呼び込むため、今回の補正に地域SPCへの出資金5000万円も計上、SPCに出資し、他の出資者とともに、バレーパークの用地、アトラクションを保有する。アトラクションを運営するムーミン物語社から施設の賃貸料の5%が入る予定。ライセンス契約は35年。この間、地域SPCは用地と関連施設を保有することが出来、施設を賃貸し運営する業者から、賃貸料を受け取れる。

■ムーミン基金から

この2億円の支出は、ふるさと納税制度「ムーミン基金」から取り崩し、一般財源に繰り入れたもの。

 これまで、メッツァについて、民間企業の事業であること、事前に計画が漏れると株価に影響を与える懸念があったこと、テーマパークという性質上、開園に期待感と夢を持ってもらう必要があった事等を理由に、市やフィ社は、市民や、市議会にも積極的情報開示を行ってこなかった。

 しかし、市は、同事業は公益性公共性等が高いと判断し、今議会での公費支出の方針を固め、事業関連費を補正に計上。市議会に対して市の説明責任が生じ、事業計画の一端が初めて明らかになった。

 11月29日の本会議で行われた質疑以降の経緯は、②に続く。