世界が共感する「クールジャパン」に 西川材生かした「ひとつぼ茶室」

高い評価を得てクールジャパンに選ばれた「ひとつぼ茶室」

 世界各国の100人の審査員が、世界が共感する「クールジャパン」を発掘・認定する「COOL JAPAN AWARD 2017」に、飯能市山手町の木製建具製造会社サカモト(坂本勉社長)と飯能市が連名で出品した「西川材とひとつぼ茶室」が選ばれた。同アワードは京都市に本部を置くクールジャパン協議会が隔年で開催し、今年で2回目。対象となった104点の中から26点が選出された。その一つに選ばれたひとつぼ茶室は、西川材で組んだ一坪(3・3平方メートル)のスペースを茶室に仕上げたもの。飯能が誇る西川材を使って茶室の侘びの精神を表現し、日本の伝統と美が融合した「クールジャパン」として審査員から高い評価を得た。

 ひとつぼ茶室は、飯能の森林文化の継承と普及を目指し、地域資源の西川材を使ったプロジェクトとして同社が展開する「ひとつぼキャビン」シリーズの一つとして誕生。

 同シリーズは、フレームや床、壁、建具に西川材を用い、屋根にはテント生地や和紙を張って仕上げ、幅・奥行1・8メートル、高さ2・45メートル、床上から梁下までの高さ1・33メートルのキャビン(小屋)に仕上げたもの。

 西川材の木肌の美しさと強度の高さ、同社の木材加工と製造技術、設計力を生かし、正方形の部屋に取り外し可能な屋根を乗せ、壁面は四方向へ開閉できる仕組みとなっている。

 地域生産者やデザイナーとチームを組み、ガーデニング、キャンプ場、レジャー施設、飲食販売などで活用できる屋外タイプ、事業所や住宅内、展示スペース、キッズルームなどで活用できる屋内タイプを展開し、様々なニーズに適した使用方法を提案している。

 同アワードに選ばれたひとつぼ茶室は、京都にある千利休の茶室「待庵」(たいあん)の侘びの精神に倣いつつ、障子や天井から光を取り入れ、深く、明るい空間を創出。

 身をかがめて躙(にじ)り口から室内に入ると、地元の畳店が仕上げた高級畳に茶道具一式が備えられ、ヒノキと畳の香りに包まれた二畳の空間で、一服を楽しむことができる。

 飯能地方で生産される西川材のスギ・ヒノキは、伐採した木を筏に組んで川を下り、江戸の町へ搬送したことから、江戸の人々が「西の川から来る良い材」と呼び始めたことが由来。

 サカモトは木製建具製造業として昭和36年に創業し、デザインドアから建具・家具の製造をはじめ、西川材を使った注文住宅やリフォームを手掛けてきた。

 アワードの表彰式は11月25日に羽生市で開催された「世界キャラクターさみっとin羽生」で行われ、西川材の普及と森林文化の継承に取り組む飯能市も連名で受賞。表彰式には坂本社長とともに大久保勝市長も出席した。受賞作品は、来年2月に米国、8月には台湾に展示される。

 受賞に対し、坂本社長は「飯能の西川材と日本の伝統や技術を海外の人に認めて頂いたことは大変嬉しい。これを機に、より一層多くの人に西川材の良さを知って頂きたい」と喜び、市は「今回の受賞を足掛かりとして、森林、林業、木材産業の再生に向け、地域を挙げて取り組みを加速したい」としている。