飯能市は、77歳と88歳を迎えた人と99歳以上に毎年9月1日、長寿を祝福する敬老祝金を支給する制度「敬老祝金条例」の廃止方針を固め、12月定例会に関連条例案を提案した。議会の承認を経て、市は平成30年からの祝金の支給を全面的に取り止める。

 同市の敬老祝金は、敬老の意を表し、長寿を祝福するものとして昭和33年に敬老年金の形でスタートしたのがはじまり。数度の支給額の変更を経て、現在は平成17年度施行の条例に基づき、対象者に年齢に応じて交付されている。

 現行制度による支給額は77歳に7000円、88歳に1万円、99歳以上に3万円。支給年度の9月1日時、市内に引き続き1年以上居住していることなどが支給の条件だ。

 平成28年度の交付対象者は77歳が888人、88歳が328人、99歳以上が57人の合計1273人。総額で1120万6000円が支給された。

 それまでの敬老年金条例から敬老祝金条例に移行した初年度平成17年などの交付対象者は77歳629人、88歳220人、99歳以上34人の合計883人で、制度施行から約10年間で対象者は390人、支給額は約358万円増加した。

 今回の制度廃止は飯能市の高齢化率、近年の平均寿命の伸び、介護保険制度の創設など、敬老祝金支給事業開始当時とは高齢者福祉を取り巻く環境が大きく変化しているのが背景。庁内での協議の結果、事業の所期の目的は達成されたと判断、終止符を打つことになった。

 開会中の12月定例会で行われた敬老祝金条例廃止条例の議案質疑では、滝沢修議員(共産党)が登壇し、制度の継続を求めた。質疑は次のとおり。

 ▽滝沢議員=敬老祝金を廃止する条例については、 昨年の12月議会にかかると全員協議会で報告があったが、その後なく、今回再び出てきたが、これについて。支給額は総額で1120万円。お年寄りは、楽しみにしている祝金である。本人が使うということもあるが、お孫さんに何か買ってやるという楽しみもあり、市内経済に貢献していると思う。

 廃止せずに、ここまで頑張ってくれた方々なので、1100万円の予算であれば制度を継続しても良いのではないか。

 ▽須田浩健康福祉部参事=昨年12月議会に向け、一度廃止案について準備を進めていた件だが、実際、昨年度においてもスタッフミーティング等を通じて廃止に向けた検討はされていた。ただ、1年前の状況としては内容的に詰め切れていない部分があり、また廃止理由も不十分なところがあったので総合的に考えた結果、廃止を見送った。

 今回廃止となるにあたり、お年寄りの方から楽しみを奪うのではないかといった点だが、これについては敬老祝金の制度として確立された背景をみると、昭和33年に敬老年金という形で、公的年金制度を補完するという形で一定額を年金として支給するものだった。

 ただ、その後、社会情勢の変化に伴って祝金として現在のような節目ごとの支給になった。

 そうした中で、現在市の施策としては、自治会、老人会などを通じて各地元において敬老祝賀会事業を行って頂いている実態がある。実際、そのようなものに対し、市は1人あたり450円までの補助を出す事業を展開している。こういったことも含めて、祝金として現金を個人に支給することを廃止するに至った。

 支給総額として、28年度は1120万6000円だが、このくらいはどうにかならないかとのことだが、市としては今後迫りくる超高齢社会に向けて、地域包括ケアシステムの強化というものも求められているので、そういったもので高齢者を支える仕組みをより強固にするといった観点から、個人への支給よりもそれを全体でまとめて、より大きな力にしていきたいという形で考えているので、ご理解をお願いしたい。