認定書を手にする山村さん一家と上副市長

認定書を手にする山村さん一家と上副市長

 飯能市が、南高麗地区を対象に推進している「“農のある暮らし”『飯能住まい』制度」を活用し、市外からの移住が決定した家族が、このほど同市役所を訪問。上良二副市長から「認定書」を受け取り、出席した関係者らと喜びを分かち合った。

 この制度は、同市の人口増加策の一環。西武池袋線飯能駅や市街地から近い利点と、週末農業を楽めるばかりでなく、営農も可能な利点を兼ね合わせた同地区の農業や豊かな里山の自然に魅力を感じる市外の人に移住・永住してもらい、地域を活性化させる事が目的。

 先月中に同市農業委員会が土地の農地転用を許可相当と認め、年内の家屋建設着工がほぼ確実になったため、市は、この家に転居予定の狭山市在住の会社員山村将司さん(35)一家4人を「移住者1号」と認定した。

 南高麗地区をはじめ同市の山間5地区は、10年間で人口が約15~25%減少。山間地域の振興と、人口維持が同市の大きな課題。

 一方で、同市は、西武線の池袋駅から特急で約40分という都心への通勤圏にありながら、豊富な自然に恵まれた「森林文化都市」として知られる。

 この特性を活かし、農業が暮らしの身近にありながら、都心への通勤も十分可能なライフスタイルを提案し、市外からの移住や定住を促進することが、この制度の狙い。

 国の優良田園住宅建設促進法に基づき、市独自の基本方針を策定、昨年4月1日、南高麗地区の一部地域に施行した。

 市は、同地区が、開発が規制された市街化調整区域でありながら、一部地域は公共施設などが整備され、幅員4メートル以上ある道路が近くに通り、水道管が敷設され、土砂崩れの恐れがないなど、快適に暮らせる環境も整っていることから、同制度施行の対象地域に選んだ。

 同地区は、飯能駅から車で5分から15分程度で、サクラ、ホタル、紅葉などの豊かな自然環境にも恵まれている。

 対象となる土地は約1・9ヘクタール、20家族くらいの移住を目指している。

 住宅の基本要件は、敷地面積300平方メートル以上、一戸建ての木造を基本とし、建ぺい率30%以下、容積率50%以下などをクリアする必要がある。

 この制度が創設される以前からの既存の補助金制度に、「飯能住まい事業補助金」を組み合わせると、最大285万円まで補助金として支援が受けられる。

 移住・定住のライフスタイルは、農業体験型、家庭菜園型、農園利用型、農地利用型の4類型を想定。

 ライフスタイルに合わせて、都心に通勤しながら、農業が身近にある暮らしを選択できるほか、就農も可能。就農する場合、南高麗をはじめ山間5地区で新規営農をしやすくするため、市は500平方メートル以上なら農地を買えるように基準を引き下げている。

 制度を利用して移住した定住者、移住者に農業関係の講習会や作付け指導など、それぞれのニーズにあった支援も実施する。

 今年9月末までに200件を超える問合せがあり、36家族が現地見学している。また、山村さん以外にも、現在、地主と土地の契約交渉を始めている人、土地の分筆交渉をしている家族のほか、既に家の設計段階に入り今年度内に申請が見込まれる移住希望者もおり、同制度は軌道に乗りつつある。

 山村さん一家は、妻のみどりさん(35)、小学校2年の笑生君(8)、二虹(にこ)ちゃん(3)の4人家族。7年前、三重県から仕事の関係で狭山市に転居。

 山村さんは、「田舎育ちなので、広い土地に家を建て庭でBBQしたり、アウトドアが楽しめればと考え土地を探していた」という。

 紹介された土地を見て回ったが、元市議で自治会顧問の小見山進さんが所有する土地を、みどりさんが気に入り決めたという。

 「小見山さんの家が一軒ある以外は、山と畑しかなく、遮るものがない大自然が広がっていて、この風景を眺めながら生活できれば」と、思った、と将司さんは振り返る。

 「先祖から預かった土地で、この土地に是非住みたいと言われ本当にうれしかった」と、小見山さんは笑顔で話す。

 敷地南側を流れる小川で、ホタルを楽しむ事が出来、隣組として一緒に住みやすい地域にしていければ、と小見山さんは語り、山村さんの転居が心待ちな様子。

 約140坪の土地を購入し、床、外壁、ウッドデッキに至るまで西川材を使用した約26坪の家を建設する。設計施工等は狭山市のゆたか建設(安食一社長)が担当。安食さんは、「こじんまりとしながらも、豊かな暮らしが出来るように設計し、山村さんの趣味のスポーツや、農業が楽しめる環境」と、図を示しながら、山村さん宅のコンセプトを語った。

 山村さん夫妻は、これまで農業経験はないが、「地域の人に指導を仰ぎながら、ウッドデッキから果物が収穫できる感じにしたい」と、夢を膨らませている。

 来春、移住予定。

 また、山村さんの移住を後押している同市農業委員会から、庭木のヒメシャラ3本が記念として贈られることになり、この日山村さんに目録が手渡された。ヒメシャラは、初夏に白い小さな花を咲かせ、秋の紅葉も楽しむ事が出来ると、同委員会会長の吉田勝紀さんは説明する。

 そのほか、この日の認定書交付式には、この制度を推進している野口和彦、大津力両市議も出席し、移住者を待ちわびていた関係者が一堂に会し、山村さん家族をもてなしお祝いムードに包まれた。