県西部に「未来都市」築く 日高・飯能含む鶴ヶ島JCT半径10キロ

 西8区(日高市)選出の小谷野五雄県議は、自身が副会長を務める自民党県議団「県西部地域未来産業集積推進懇話会」がまとめた県西部地域への未来産業集積による産業振興案について、本紙に説明した。

 同案は、圏央道鶴ヶ島インターチェンジに近接した県有地・農業大学校跡地の活用を図ると同時に鶴ヶ島ジャンクションを中心に日高市、飯能市を含む半径10キロのエリアを未来産業Hub(拠点)と位置付け、企業が規制にとらわれず柔軟にサービスを試すことが可能になる国家戦略特区を活用し、幅広い産業の集積を図るもの。

 同懇話会は9月に同案を県に提出しており、小谷野県議は「県西部に未来都市を築くため、県内初の国家戦略特区を目指している。議会答弁で上田知事もやりたいとの意向を示しており、実現すれば、日高・飯能でも企業誘致と雇用の創出が大きく前進する」と実現に意欲を見せる。

 県農業大学校は平成27年に鶴ヶ島市から熊谷市へ移転。県は、圏央道鶴ヶ島インターに近接した同大学跡地約40ヘクタールの活用推進事業として、基盤整備をした上で経済効果の高い先端産業や次世代産業の誘致を計画している。

 これに対し同懇話会の打ち出した案は、農大跡地にとどまらず広範囲なエリアを視野に入れ、鶴ヶ島ジャンクションを中心とした半径10キロのエリアを未来産業Hubと位置付け、県内初の国家戦略特区を目指し、未来産業を集積させるというもの。  未来産業とは「従来の産業の横断的かつ有機的な結合によって成立する幅広い産業」を指し、航空・宇宙開発、情報、住宅・都市開発、医療、教育、レジャー、エンジニアリング、先端技術産業など多岐にわたる。

 実現に向けた具体的な流れとしては、情報技術を駆使して製造業の最大効率を追求する第4次産業革命「IoT」(インターネット・オブ・シングス)に対応する新たな法律として国が今年7月に施行した「地域未来投資促進法」に基づき、エリア内の市町と県で同地域に未来産業を集積させ、地域経済を活性化するための基本計画を立てる。

 同エリアにIoTを支えるインフラ通信網「LPWA」を先行整備し、次世代通信の「5G」等の早期整備に取り組み、IoTを利用した新たな産業の創造や未来産業の企業誘致を行う。

 農大跡地を「リーディングプロジェクト」として、未来産業をはじめ次世代産業などの研究開発機能を備え地域経済を牽引できる進出企業を募り、地域経済牽引事業計画を立てる。

 LPWAの先行整備と国家戦略特別区域法に基づき、企業が規制にとらわれず自由に新しいサービスを試すことを認める日本版「レギュラトリー・サンドボックス」制度をエリア内に適用する。

 特区認定により、規制にとらわれない様々な実証実験が可能となり、県は農大跡地周辺に対し地方創生の種地として必要な面積を確保し、一連の計画を行うために産業支援施設を整備。IoTなどの新技術を県西部地内の中小企業の活力向上に活用する。

 自民党県議団の政調会長を務める小谷野県議は、同案について「これは、国家戦略特区など国の支援策と連動して県西部地域に未来都市を作る構想。エリア内には日高市のほぼ全域と飯能市の一部も入っている。圏央道沿いの高萩北方面をはじめ、エリア内に幅広い産業が立地できるようになれば、地元の人々にとって働く場の創出につながる」と話している。