新電元飯能工場に移転話 朝霞市議会で関連予算可決

 新電元工業(本社・東京都千代田区)の飯能工場(飯能市南町)の朝霞市内への移転話が浮上している事が、朝霞市議会9月定例会で関連予算が可決し明らかになった。昭和24年8月、同社が設立された当初から、飯能工場は同地にある同社の中核的施設。市内にある代表的な大企業で、多くの雇用を生み出すと共に、駅伝等でも知られ、市に多大な貢献をもたらし市民に親しまれ続けている。同社の移転話は、多くの市民にとって寝耳に水で、現実となれば、市や市民に与える影響は計り知れない。

 同社(鈴木吉憲社長)は、24年に設立。30年には電元工業(株)から営業権などを譲受。半導体、電源、電装、ソレノイド(導線をらせん状に巻いたコイル)の4事業が中心。為替が円安に推移し、製品を供給する二輪車のアジア市場が好調な事から、17年4~6月期の同社の連結決算は、純利益が前年同期比約5倍となるなど近年業績好調。連結で従業員数約4700人。飯能工場は、約1000人。また、同社陸上競技部は、駅伝で知られ多くの名ランナーを輩出。1月に市内で開催される奥むさし駅伝競走大会への出場などで市民にとって身近な存在。

 朝霞の市議の話によれば、工場はそのまま飯能で、従業員約1000人の研究機能が移転する計画と聞いているという。

 移転計画予定地は、朝霞市栄町の3ヘクタールの小学校跡地。21年度末に学校移転後、市民にグラウンド等を暫定利活用させていた。

 同跡地には、旧校舎等が取り壊されず残っているため、朝霞市議会9月定例会に、同小学校跡地関連の一般会計補正予算約1億円、土壌調査の業務委託費約5000万円、契約書作成や水準測量に係る委託費約600万円が上程され可決。今後跡地の調査・整備等が進められる予定と、朝霞市の担当者は話す。

 朝霞の9月市会では、同跡地への進出希望企業名は伏せられていたが、今月に入って同社の組合側への説明が終了したことから、企業名は新電元工業であることが発表されたという。

 朝霞市と同社は、これから同跡地の貸借契約交渉に入り、合意が成立すれば同社飯能工場の研究機能移転が決定する。1000人規模の雇用創出につながるものと、朝霞市や同市議を始め、多くの朝霞市民が期待しているという。

 一方、1000人規模の雇用が失われる可能性もある飯能市にとっては、看過できない大問題。

 共産党飯能市議団では、「従業員も飯能市民が多く、関連する下請けも多いので、12月議会で市の説明を聞く予定」という。

 しかし、市でも「現在、同社から連絡はなく、情報確認中」と戸惑っている。

同社飯能工場は、「今のタイミングでは、お話出来る事はない」という回答だった。