3校統合で地域まとまる 平成31年度西川小へ統合

統合についての基本方針等を盛り込んだ報告書を大久保市長に渡す石田会長(右)

 児童数の減少により生じている学習環境の課題を背景に、飯能市吾野・東吾野地区の学校のあり方について議論を重ねてきた地元自治会や小中学校の保護者、市職員などによる「東吾野・西川・吾野小学校のあり方を検討する協議会」(石田安良会長)は17日、これまでの協議結果をまとめ、大久保勝市長に報告した。

 両地区内の東吾野・西川・吾野小は複式学級が導入されるなど、児童数の減少が続く。そのため、協議会は過疎化する地域の学校の望むべき姿について、定住者の増加も視野に、西川小に近接する吾野中学校の施設を活用した「施設隣接型小中一貫校」として西川小へ3校を統合し、平成31年度に開校をと結論付けた。

 将来に向けた子どもたちのより良い学習環境の整備と地域の振興を見据え、協議会が大久保市長、今井直己教育長に報告した3校あり方の基本方針は、次の4項目。

 ①東吾野・西川・吾野小学校の3校を統合し、平成31年度の開校を目指す。

 ②3校統合に併せ、吾野中学校及び西川小学校の施設を活用した「施設隣接型小中一貫校」を目指す。

 ③「魅力ある学校」を創り、地域の振興はもとより、定住者の増加も視野に入れた新しい学校を目指す。

 ④吾野保育所も隣接されていることから、子どもたちを一体的に育てていく仕組みを構築し、飯能市の優れた教育環境のモデル校を目指す。

 協議会のこの方針提示に、大久保市長は「協議会の皆さんの限りない気持ちを届けて頂き、心から感謝申し上げる。幾度となく会議を重ねられ、実のある素晴らしい会議だったということを教育長の報告で聞いている」と、子どもたちの学習環境改善のため、膝を交えた熱心な地域の取り組みを称賛。

 「今回の学校統合は飯能市にとって光明を差すものであり、全国的にも稀な素晴らしい統合。これを国内の学校統合の象徴的な出来事にしたい」などと、全国的に難航事例が多い学校統合で最終的に地域が意思統一されたことに、諸手を挙げて喜んだ。

 吾野地区は、過去10年間で23・5%人口が減少するとともに、高齢化率についても約40%と市内で最も高い。児童数も減り、運動会や遠足といった学校行事に支障が出たり、少人数の学校生活により子どもたちの間で競争心が希薄化するなどといった問題が指摘されている状況にある。

 両吾野地区の一部住民たちの間では、学校統合を視野に入れた話し合いが非公式で行われるなど、統合機運が高まりを見せ、昨年5月には自治連吾野支部が、早期の学校統合を求める要望書を大久保市長に提出するなどした。

 東吾野・西川・吾野小学校のあり方を検討する協議会は今年4月9日、児童数減少という課題解決のために自治会、地域福祉団体、保護者会など団体の代表者が集まって結成。

 メンバーは、東吾野地区19人、吾野地区17人の合計36人。直ちに意見交換に入り、6月3日の第2回会合で意見の整理を行い、7月29日の第3回会合で議論をまとめた。

 その後、吾野小学校区、白子・平戸地区、西川小学校区、虎秀・井上地区で協議結果を説明する会合を招集し、今月14日の第4回協議会で、今回大久保市長らに報告した東吾野・西川・吾野小学校の3校統合方針を最終決定した。

 大久保市長への基本方針報告の場で、石田会長は「昨年12月に教育委員会から地域の子どもたちの小学校の実態というものを初めてお聞きした。子どもたちの数がどんどん減っていくという、この数字は大変ショックだった」と振り返り、「行政の皆様には、これから具体的な作業を練って頂かなければならない」と、3校統合へ向けての市の今後の実務に期待感を示した。

 その上で、「この学校づくりに対して、地域では協力態勢が整っている。行政の皆さんだけにおんぶに抱っこというつもりはない」などと、地域と市の〝協働〟による3校統合を強調した。

 基本方針策定過程で、協議会とは別に、各小中学校の保護者会での意見交換、住民説明会などが行われ、「学校は地域のシンボル」「存続させたい」との意見もあったという。が、地域に住む子どもたちの将来、両地域の未来のためには、「まだ学校として若干の余力があるうちに、新たな学校づくりに取り組むべきではないか」として3校統合方針を決定した。

 大久保市長とともに報告を受けた今井教育長は、「この方針をもとに飯能市が3校統合について最終決定する。今後も方針が決定されれば、地域、協議会の皆さんとともに意見を交わしながら、魅力ある学校づくりを進めたい」などと述べた。

 飯能市内では、平成5年に吾野地区で北川・南川小学校を廃校し、吾野小学校に統合する3校統合事業が実施されている。東吾野・西川・吾野小の3校統合は、それに次ぐ統廃合プロジェクトとなる。