宮沢湖、耐震詳細調査を実施 被害想定マップ作成も

昭和16年に完成した宮沢湖の堤(中央の直線部分)

 宮沢ため池(宮沢湖)の耐震性の詳細調査を目的に、飯能市は9月議会で約333万円の補正予算を組んだ。また、宮沢湖は、平成32年度までに、ハザードマップの作成・公表を行う事になっている防災重点ため池に当たるため、同マップ作成業務費30万円も計上した。

 宮沢湖は、飯能市宮沢にあり、入間台地西部の水田を潤すために建設された人造湖。昭和6年に着工され16年に完成した。

 高さ18・5メートル、長さ240メートルの堤を築き、入間川の水を引き込んで流域面積1・1平方キロ、満水時の面積約13ヘクタールのため池が作られた。ここを源流として、小畔川や入間第2用水路が流れ出している。

 飯能市や日高市の代表的な観光地である天覧山や巾着田も近く、奥武蔵自然歩道も付近を通る。宮沢湖で、ボート遊びや、釣りも楽しめるため、周辺一帯は、早くから西武グループによるリゾート開発が進み、ゴルフ場や、子ども向け動物園が建設されるなど、市民の憩いの場であるともに、近隣の観光地として親しまれている。

 西武グループ撤退後、フィンテックグローバル社(玉井信光社長)が開発に名乗りを挙げ、同湖畔周囲に、母国フィンランド以外では、世界初となるムーミンのテーマパーク「メッツァ」の建設が決まり、30年秋には、「ビレッジ」が先行開業し、31年春には、「バレーパーク」がグラウンドオープンする。

 飯能の観光振興を担う3つの中核拠点のうち最重要施設として、飯能市民ばかりでなく近隣住民の期待を集めている。

 今回の耐震診断は、防災対策の強化と被害想定調査のため、国の方針で平成25年度から進められた農業用ため池の全国一斉点検の一環。点検は、主に外観や立地状況を目視で調べたもので、27年度に終了している。

 調査されたため池は、流域面積0・5ヘクタール以上のもの。県内には452か所あり、そのうち堤高15メートル以上で、決壊した場合、人家や重要な公共施設に影響を与える恐れがあるため池は、特に防災重点ため池に指定され、県内に5つあるが宮沢湖はその一つ。他に毛呂山町の鎌北湖などが重点ため池に該当する。また、飯能市の2か所、日高市の3か所のため池が、一斉点検調査されている。

 目視による振り分けの結果、宮沢湖は詳細調査が必要とされ、その費用が9月議会で予算化された。

 28年度には、下流部の調査が終了しており、今回は、湖の水を抜いた上で、高品質ボーリング工法により、堤を中心に上流域の正確な耐震診断を実施する。事業主体は飯能市で、総事業費は約1267万円掛かるが、県が防災減災緊急対策事業補助金を活用し600万円を負担。残り約667万円を、宮沢湖の下流域に当たる日高市と折半。来月には調査準備に入り今年度内には終了予定。

 また、ハザードマップは、国が、全ての防災重点ため池を対象に32年度までに作成・公表することを求めたもの。宮沢湖の一斉点検及び詳細調査結果に直接的な関係はなく、十分な耐震性があったとしても、もし堤等が損壊したと仮定した際の被害地域の想定。

 マップ作成業務の事業主体は飯能市で、総事業費は120万円。やはり県が費用の半分を補助し、飯能・日高両市で残り半分の30万円ずつを出し合う。

 ハザードマップ公表後の対応は、調査結果を踏まえ決定される。