高麗神社にご到着され、高麗宮司の案内で社殿に向かわれる両陛下

高麗神社にご到着され、高麗宮司の案内で社殿に向かわれる両陛下

 天皇皇后両陛下が飯能・日高をご訪問された20日は、両市にとって歴史に残る1日となった。私的旅行とはいえ、両陛下揃っての行幸啓(ぎょうこうけい)は稀に見る慶事。市内では早朝から警察、県、市などの関係者が周辺警備にあたり、沿道に指定された奉送迎エリアには続々と市民が詰めかけた。

 ご視察先の高麗神社、巾着田、休憩場所の県飯能合同庁舎ではそれぞれ、市長や市議会議長をはじめ案内役を務める人々が緊張の面持ちでご到着に備え、両陛下との接見を終え、「この上ない栄誉」と口を揃えた。

 両陛下がご乗車された御料車は午前11時過ぎに圏央道狭山日高インターチェンジを降り、飯能市内の国道299号を通過して日高市へ。昼前に高麗神社へご到着され、谷ケ﨑照雄市長、森崎成喜市議会議長がお出迎え。高麗文康宮司の案内でご参拝され、隣接地にある国指定重要文化財の高麗家住宅をご視察後、会食を楽しまれた。

 参道では、高麗宮司が神社の由緒、高麗郡の歴史についてご説明。両陛下は参道脇の植樹や、高麗神社の間に小さく「句」の文字が入り「高句麗神社」と記された社号額、平成27年に外拝殿を増築した社殿などに深く関心を示され、ご参拝ではそれぞれ玉串を捧げられた。

 その後、高麗家住宅を視察され、同神社主任学芸員の横田稔さん(40)から、慶長年間(1600年頃)に建立した同住宅は、氏子の寄り合いや集会、子どもの手習いなどにも活用されたとの説明や、所蔵する文化財「高麗氏系図」「大般若経」のご紹介・説明があり、興味深そうに頷かれた天皇陛下は「材は何ですか」と質問されたり、「いろんなことがよく残っていますね」との感想を述べられた。

 案内役を務めた高麗宮司(50)は「両陛下をお迎えするという、このようなことが起こるとは全く想定しておりませんでしたので、誠に名誉なこと」と語り、「ご到着の際に皇后陛下に微笑んで頂き、少し気が楽になりました。参道脇の植樹に関心を示され、“こういう人もお見えになっているんだ”と仰られ、高麗郡建郡1300年の記念事業として社殿前に外拝殿を増築されたとのご説明に対しては、にっこりと大きく頷かれていた。また、高麗家住宅の敷地内に入られた時にお2人が“緑がとても綺麗”と声を合わせて仰っていたのが印象的でした」と振り返った。

 その後、約1時間の会食を終えた両陛下は軽装に着替えられ、巾着田曼珠沙華公園へご移動。公園内では谷ケ﨑市長と森崎議長が遂行し、産業振興課の国分央課長が巾着田やマンジュシャゲの由来、動植物などについて説明した。

 一面に真紅の花を咲かせるマンジュシャゲや巾着田の航空写真をご覧になった皇后陛下は「まあたくさん」「本当に巾着の形」と顔を綻ばせ、両陛下ともに周辺の動植物などについて盛んに質問を投げかけた。また、ご視察中に偶然飛来したカワセミの姿に感嘆の声を上げられる場面もあり、初秋を彩る景観をご堪能された。

 両陛下と約半日を共にした谷ケ﨑市長は「天皇陛下は高句麗のことに関心を示され、ご会食の際には高句麗の人たちは何人くらいこちらへ移り住んだかとか、現在どのような名字を名乗っているのかといった質問を多く頂いた。巾着田ではマンジュシャゲの群生に驚かれ、動植物に関する細かな質問を頂いた」と振り返り、「初めてお目にかかることができ、大変光栄。親しみやすいお人柄で気さくに話しかけて頂き、本当に感激した。市内には42か所の奉送迎場所を設け、用意した1万本の小旗は全て無くなったと聞いている。市を挙げて歓迎することができ、市民の方々も喜んでいると思う」と語った。

 巾着田を後にされた両陛下は、再び飯能市を通過され、午後4時前に休憩所となる県飯能合同庁舎に立ち寄られ、大久保勝市長、野田直人市議会議長のお出迎えを受け、ご休憩の後、宿泊先の熊谷市へ向かった。

 両陛下をお迎えした大久保市長は「天皇皇后両陛下の本市へのお越しを、奉送迎場所を埋め尽くした大勢の飯能市民とともに心から歓迎させて頂きました。お手をお振り下さる両陛下の穏やかなお姿、ご休憩場所での“ありがとう”のお言葉からも、国民に対するお心遣いと優しさを感じました。両陛下の益々のご健勝を祈念いたしますとともに、またのご来飯を心よりお待ち申し上げております」と感無量だった。

■御姿「一目見たい」

 沿道に設けられた奉送迎場所には、天皇皇后の御姿を一目見ようと、朝早くから多くの市民が集まった。曼珠沙華公園入口近くでは、市内の女性(53)が「近くに所有する畑があるので、ここで見ようと決めていました。母に見せてあげようと、早く来ました」と待ち遠しい様子。

 警備の警察官は、DJポリスのように軽妙なトークを交えながら、「押さない、飛び出さない、走らない、追い掛けない」などの諸注意事項を何度も繰り返し、「5分前」「3分前」を告げるボードを取り付けた先導のパトカーが通り過ぎていくと、市民の間からは「もうすぐだ」「まだか」との声が飛び交い、緊張感はどんどん高まっていった。

 いよいよ両陛下がご乗車された御料車がやってくると、「わぁ」という歓声とともに小旗を振る音が響いた。

 皇后陛下は白色上下の御召し物と帽子を身に付けられ、笑顔で手を振りながら歓声にお応えになり、沿道の人々の間では「見えた?」「あっという間だった」「撮れた」「お綺麗だった」とあちこちで写真を見せあう姿が見られた一方、「良く見えなかった」と残念がる声も。警察官の「規制解除となります。ありがとうございました」の声と共に、詰めかけた市民はその場を離れた。