イノシシやサルなど野生鳥獣による農作物被害に頭を痛める飯能市が、全国の自治体に先駆けて今年4月に発足させた市職員による「鳥獣被害対策隊」。市民からの野生鳥獣の出没通報を受けて職員が現地に急行、パチンコなどの道具を使って鳥獣を追い払うなどの活動をする全庁的なボランティア組織だが、出動件数は隊発足後、今月19日までの3か月間で、ほぼ4日に一度、23回に上っていることが分かった。

 近年、飯能地方での野生鳥獣、特にイノシシなどは山間地から住宅地へと行動圏を広げ、伴って農作物被害が多発傾向にある。市農林課によると、平成27年度の市内でのイノシシ、シカ、サル、アライグマなど野生鳥獣による農作物への被害件数は250件余り、金額にして約4500万円にも達する。

 人里への出没による人的被害はないものの、人家近くに現れたイノシシに威嚇されたなどの事案は、分かっているだけでも加治地区内で複数回発生している。

 野生鳥獣の出没、被害対応については、担当の農林課だけではとても手が足りず、そこで市は今年4月、全庁的なプロジェクトとして、職員がチームを組んで鳥獣被害対策に乗り出す、全国的に見ても珍しい鳥獣被害対策隊を結成した。

 対策隊のメンバーは、庁内各部署から自ら手を上げた男性66人、女性8人の合計74人。活動の柱は、①捕獲②鳥獣を寄せ付けない環境整備③防除の3点で、出没が多発する吾野、東吾野、名栗、原市場、南高麗の山間5地区で、隊発足直後から、先行的に活動を開始している。

 担当の農林課に寄せられた市民や各地区行政センターからのサルやイノシシなどの出没情報に基づき、その地区を所管する隊のメンバーが上司への報告、許可後、市役所業務中であっても現場に向かう──というのが隊の活動フロー。

 現場出動だけでなく、地域住民が被害に遭った時は、出没した鳥獣や被害程度、時間、出没が頻繁かなど地域で情報収集を行い、鳥獣被害対策を担当する農林課や地区行政センターと情報共有し、その後の対策につなげるなどの作業も担う。

 4月18日の結成から7月19日までの3か月間で、隊が出動した件数は、山間5地区で出没鳥獣別にサル11、イノシシ4、シカ2、大型動物複合5、中型動物複合1の合計23件となり、サルの対応が最も多い。

 サル出没の実際の現場では、「人里は危険」(農林課)ということを刷り込ませるため、出動の際に携行するパチンコを取り出して、サルに当たらぬよう注意し、周辺に向かって球を発射したこともある。

 パチンコのほか、追い払いにさらに効果的と言われる猟銃のようなエアガンを一丁購入、現在、現場で実験中という。

 対策隊は、市民などから寄せられた通報に基づき、現地に出動、諸活動を展開するが、通報から隊の現地到着までがタイムリーではなく、どうしても時間差が生じてしまうのがネック。

 こうした課題もあり、農林課では今年度中、動物の足にワイヤーが掛かり、動きを封じる「くくりワナ」の免許を5~6人の職員に取得してもらう考えという。くくりワナは、免許取得者1人で1回30基まで設置できるため、対策隊活動の柱の一つである野生鳥獣捕獲に大きな効果を上げると期待されている。

 出動人員の延べ人数は、対応した鳥獣種類別にサル13、イノシシ7、シカ2、大型動物複合8、中型動物複合1の合わせて31人。現場での事故等は未発生という。