料理で異文化体験を 飯能河原にカールヴァーン開店

割岩橋から望むカールヴァーン(パース)

 本格的な地中海・アラビア料理が楽しめるレストラン「CARVAAN(カールヴァーン)」が25日、飯能河原を望む飯能市大河原の旧岩清水跡地にオープンする。経営は、食品・雑貨輸入販売を手掛け、渋谷ヒカリエや吉祥寺などに全国11店舗を展開する㈱FAREAST=ファーイースト(佐々木敏行社長、本社・飯能市久須美)。

 同社は、平成6年㈲サルベーションカンパニーとして創業し、様々な事業に取り組むことからスタート。塩の自由化を機に塩を扱う貿易業に乗り出し成功。現在では、従業員150人を抱え、輸入販売のほか、食品・アイスクリーム・菓子の製造・販売や、農園での生産・経営まで行う6次産業化を進めている。

 最初に販売した塩は、パキスタンのガンダーラ地方で採れるピンク色の岩塩。岩塩独特の甘みが特徴。

 佐々木さんは世界中を旅した経験から、商売するならば人に必要とされる物を扱いたい、と考えていた。水、空気は商品として扱うことはできなくても、塩ならば、という思いがあった。

 ピンと来たのはストーリー性。5億7000万年前から6億3000万年前という古代の海に堆積した塩が、ガンダーラというエキゾチックな響きを持つ山岳地帯に陸封され、ピンクに輝くという人のイマジネーションを刺激する物語が、人をワクワク感動させる、という確信から輸入。急成長へのきっかけに。

 同社の理念やコンセプトは、商品で人を感動させることのほか、「安全な商品=ナチュラル・オーガニック」を追求し、現地の雇用・発展にも資する公平な取引にもこだわり、流行を追わず、“細くとも永く”愛される商品取引を行い、商品価値を損なわず、関わる全ての人を満足させ、公益性を追求し、女性の能力を積極的に活用すること。同社の従業員の男性は8人だけで、約140人は女性。

 アフリカのウガンダの小さな村で作られていたパイナップルの商品価値に気付き、現在、ドライフルーツにして輸入している。当時、現地は貧困地帯で平均寿命42歳だった。佐々木さんは、一から現地に関わりドライフルーツにした時の商品価値から伝え、世界的なブランディングを成し遂げた。現地の雇用につなげ自立支援に大きな貢献をしている。ドライフルーツが今の主力商品。

 飯能・名栗には、たまたまドライブに来て、「何ていいところなんだ」と感じ、平成14年、飯能市久須美に本社移転。ガンダーラの塩がヒットする前年だ。

 佐々木さんは、「(飯能に)他に感じなかった何かを感じた。魅力にあふれた町。間違いなく伸びる」と、きっぱり語る。

 カールヴァーン建設地は、飯能河原を見下ろす言わば飯能のシンボル的地域。

 岩清水が閉館した後、長くクローズされていたが、佐々木さんは、通り掛かる度に気に掛かっていたという。3年前跡地利用について打診を受けすぐに決断。「御役目が来た、と思った」と振り返る。

 店舗は、飯能河原を望む複雑な崖状地に立つ木造2階建て、1階は2段構造、延床面積430平方メートル。店内に9メートルの吹き抜けを設け、飯能河原に面した壁は、全面ガラス窓で眺望を楽しむ事が出来る。

 店に一歩足を踏み入れると、異文化に迷い込んだようなワクワク感が沸き、日本人に馴染みのない地中海・アラビア料理を、日本人好みの味付けで楽しむことが出来る。

 内装、装飾にもこだわり、壁には、フランスの租界時代に焼かれていた上海ブルーのレンガを上海で生産し輸入、ふんだんに使用。床材は、床の間に使用するようなアフリカ産高級木を張り、イスはフランスのアンリ2世時代の物を復刻生産して輸入。豊かな装飾が施されたトルコ製照明器具、エーベックスのジャケット制作を多数手がけるニューヨーク在住のアーチィスト作の壁画等々、細部にまで工夫が凝らされている。

 レストランは、オープンキッチンで調理風景を楽しむ事が出来、ビール醸造所を併設しドイツで優勝経験のあるビール作りの職人が管理する。ホップは同市南高麗の自社農場で社長夫妻ら従業員が、無肥料、無農薬で育てた物を使用。エジプト産ライムを使用した物や、古代麦を使った物等4種類のビールが味わえる。ワイン貯蔵庫もあり、チュニジア産ワインなど、中東産を中心に提供する。スペシャルティコーヒーをサイフォン、エスプレッソ、ハンドドリップなど様々な抽出方法で提供。ドライフルーツを使ったジェラード、スイーツ、パンなども自家製にこだわっている。

 屋外のテラス席も含めて140席。ほかに、敷地南側の道路に面した一画に、CARVAANCAMP(フードトレーラー)を初夏から秋に設置、飯能河原で水辺の涼を楽しむ観光客らに、ビール、ジェラード、アラビアン・ファストフードなどを販売する。

 真鍮のアラビアンプレートに料理を盛り、それを大勢でシェアする形式が主だが、アラカルトも用意し個人での来店も問題ない。

 昼は2800円から3500円、ディナーは、5000円から8000円。

 午前11時半開店、午後11時閉店。午後4時から同6時まで休憩。週1回定休。

 同社では、南高麗の農場を拡大し、自家栽培の食材を増やしていくことや、ブドウ畑やワイナリーの建設も視野に入れている。

 20日には関係者を招待、21日は、市長や市議などを招きオープニングパーティーが開かれる。

 問い合わせは同社973・2060。