三浦社長から、タブレットの使用法を学習する職員

三浦社長から、タブレット使用法を学習する職員

 飯能市は、耳の不自由な市民らのために、市役所窓口にタブレット端末を導入し、テレビ電話等での意思疎通を可能にする総合支援対応を7月から始める。

 現在担当職員がスタートと同時に、端末を利用した対応がスムーズに行えるように研修を実施している。

 この端末は、「遠隔手話」「音声認識」「筆談」の3機能があり、市の窓口担当者と聴覚に不自由を感じる市民とのコミュケーションをサポートするほか、耳の不自由な方が、自宅から自分のスマートフォンを介した「代理電話支援サービス」も可能になり、このシステム導入で、より円滑な行政サービス提供が可能になる。

 平成28年、障害者差別解消法が施行され、障害に関わりなく誰もが平等な権利を享受できる「合理的配慮」が、行政窓口などで求められるようになり、同市のタブレット導入はその一環。タブレットを活用した窓口対応を実施している機関は、厚生労働省、東京都、東京都港区や一部空港カウンターなど。これまで手間が掛かるため、省略されがちだった細かなサービスの提供が可能になり、耳の不自由な利用者などに好評を得ているという。

 仕組みは、手話が出来る人が訪れたときには、タブレットの遠隔手話機能を活用。委託した手話通訳コールセンターへテレビ電話をつなぎ、来訪者と通訳者が手話で会話し、通訳者が市職員に来訪者の意図や意思を伝え、市職員が対応する。

 手話が出来ない耳の不自由な人が窓口を訪れ、声で意思が伝えられる場合は、音声認識機能を活用。声を認識し文字化、その文字により職員とコミュニケーションを図る。

 声を出す事も難しい人には筆談対応。タブレット画面への指タッチで筆談が可能。

 さらに、市では代理電話支援事業も始める。

 耳の不自由な人が、市や市関連施設に電話で問合せを行う場合、自分のスマホから手話通訳コールセンターにつながるようにして、スマホを介したテレビ電話で、手話によって会話し意思を通訳者に伝え、通訳者が本人に代わって市役所担当課に電話する。回答は、逆の過程を通じて本人に伝えられる。

 手話が出来ない人は、メールやFAXを使って内容を伝え、通訳者が代理電話することも可能。

 現在、市内に住む聴覚障害者手帳所有者は160人、その内手話が出来る人は30人。加齢により耳が遠くなった人にも便利なシステム。

 また、英語、韓国語など27言語の音声を認識して、日本語で表示する機能や、逆に日本語を外国語に文章化する機能もあるため、日本語の話せない外国人の窓口対応にも応用できる。

 今年度は、利用の多い障害者福祉課と市民課にタブレットを常設し、他の課に耳の不自由な人が訪れた場合は、タブレットをその窓口に移動して意思疎通を図る。

 このコールセンターでの通訳対応も含めた「窓口トータル支援システム」は、㈱プラスヴォイス(仙台市、三浦宏之社長)が提供するサービス。同社は、福祉分野の情報バリアフリ―を目指して設立された会社。

 この日、障害者福祉課の職員が、三浦社長ら同社職員から懇切丁寧にタブレットの使用法を学習。普通に健常者と会話するような速さでコミュニケーション可能で、その使い勝手の良さに目を輝かせていた。

 障害者福祉課の喜多弘達さんは、「障害のある方に対応したことが何回かありますが、コミュニケーションに時間が掛かり、お待たせしたり、市民の方に手間を取らせたりしましたが、この端末で時間を削減出来、今までよりも正確な手続きが出来ると思います」と語り、また、同課の宮寺可奈さんは、「職員が使えないと始まらないので、導入前に使いこなせるように勉強して、最初から市民に迷惑を掛けない様にしたい」と、意欲的に語っていた。

 この窓口対応は、障害者福祉課と市民課でスタートするが、WiFi活用で他の課でもタブレットを移動して利用可能なほか、利用状況を見て、今後対応可能窓口を増やす事も検討するという。