飯能市の都市計画事業「双柳南部土地整理区画整理審議会」(野口勲会長)がこのほど開かれ、仮換地指定及び評価員の選任について諮問が行われたが、出席した委員から指摘や質問が相次いだ。

 仮換地の諮問については審議会の同意が得られず保留とされ、審議会終了後、委員からの提案が通り、再度審議会を開き諮問が出し直されることに。評価委員の選任は、事業の進捗を図る観点から委員の同意は得られたものの、今後の検討課題として市当局に強い要望付きの同意となった。

 同地区の事業は、平成28年3月末現在、建物移転済戸数による進捗率は19・4%に留まり、事業終了に必要な年数は約70年と試算されたこともあり、見直しに向けた説明会やアンケートによる意向調査が実施され、この日の審議会に報告された速報値では、見直しを求める回答は81%に達している。

 同地区の事業地は、東側は入間市との行政境、西の境は南の岩沢地区から伸びる都市計画道路阿須小久保線、南は国道299号線を境とする約48・5ヘクタールのエリア。

 平成4年、区画整理事業が都市計画決定され、同年事業開始、まだ見直しが行われていない昨年3月末の計画では、平成34年3月の事業終了予定。

 この日の審議会の議題は、仮換地及び保留地の変更についてなど、委員の同意を得る必要がある諮問事項2件と、今年度の事業予定など報告3件。

 審議会は、冒頭の議題「仮換地及び保留地の変更について」の諮問から紛糾した。

 道路の整備進捗を図るため、それに関わる約100平方メートルの仮換地と、別の街区の約103平方メートルの保留地との交換を諮問する増換地が含まれていたことが紛糾の原因。

 「区画整理は、地権者が公平に土地を出し、換地設計を行う事業で、公平性を期すため増換地はしないということだった。この土地は、減歩をしていない減歩緩和という特権を1回受けている」などという理由から多くの委員が反発。

 市側は、事業を早く進めて行く必要があり、『整理画地が150平方メートル未満の場合には、原則として整理前の画地地籍を換地設計する。なお、評価額の差は金銭で清算するものとする』という規定があり、「原則として」ということで理解してもらい、基準等は同意後に改めて作るという方向で了承してほしい、などと理解を求めた。

 出席した議員の大半は、早く進める必要性は認めながらも、「前例のないことをするならば、新基準を設けて審議してからでないと判断できない」「これが増換地の前例になれば、どんどん増える可能性があり公平性に欠ける」「原則としてという事だが、増換地してもいいとは書いていない」「地主と市で決められるならば、審議会はいらない」など、多くの委員が、公平性の観点と、判断の根拠となる基準の不確かさから諮問への同意を懸念した。

 委員側から、103平方メートルの土地を100平方メートルの仮換地と、3平方メートルの保留地に分け、3平方メートルの土地を地権者に買ってもらう案や、評価員の変更を機に、保留地が2年も売れていない事で、仮換地と保留地の評価価格を同額に見直す案等が、逆に市に提案された。

 市側から明確な回答はなかったが、審議会の結論として、地主と市が話し合い、100平方メートルの仮換地と3平方メートルの保留地に書き直し、地主に保留地を買ってもらった上での諮問出し直しを要望し、諮問書は市に返された。

 また、やり取り中で、岩沢など他地区では類似の増換地が既に行われていることを市側は明らかにした。

 次に評価員の選任についても活発な論議に。

 区画整理事業地の土地の価格の評価は、市からの諮問を受け審議会が同意した3人の評価員が行っている。2人は民間から、1人は官公庁職員として業務に精通した市職員が務めている。

 今回は、一身上の都合という理由で前任者2人が辞任し後任者を選任する諮問。民間委員の1人が、地元金融機関の支店長で、この金融機関の人事異動に伴い、後任者が、そのまま引き継ぐ形であったことから委員から疑問が提起された。

 「金融の専門家であっても、土地の専門家ではない」「金融機関で良ければ、市内の他の金融機関職員でも良い」「民間委員の1人が不動産鑑定士だから、もう1人も不動産鑑定士に」「決めたのは昭和。合併もあり、この金融機関の職員は地元に精通した人とは限らない」「土地の価格も様々になり、事業見直しを進める上でも評価員は重要」など、今後より重要性が増す評価員の選任についても紛糾。

 審議会は、評価員選任についても保留されかねなかったが、事業の早期進捗という委員の共通認識から、「大きな検討課題として、今後様々な意見を聞いて、変えるようにして頂く」という市側への注文付きで委員は諮問に同意した。

 また、市は、3月に事業の現状と遅れについて地元説明会を行い、意向調査アンケートを実施。回答は集計中だが、この日現在の速報値が報告された。

 地元説明会は、3月の3日間行われ計301権利者が出席。対象権利者数は1113で出席率27%。3月下旬個別相談会も4日間開かれ、合計出席者数は95権利者、出席率8・5%。

 説明会及び相談会では、現状と遅れている理由を説明したが、「事業開始から25年も経って、今更このような説明会を行うのはどういうことか」「他の地区に比べ、なぜ進捗が非常に悪いのか」など、厳しい意見や不安を訴える声が多かったと、市では報告した。

 またアンケートは、この日の審議会時点で、1113権利者中632件(回収率57%)が提出されている。集計によると、「見直すべき287件(45%)」「見直しやむなし223件(35%)」「計画通り進めるべき32件(5%)」「その他12件(2%)」「無回答78件(12%)」という結果で、見直しには81%が同意。さらに、その他、無回答の中にも、びっしり意見を記述したものが多く、この結果も分析集計すると、見直し賛成は87%に達すると市では見ている。

 説明会で、「見直しにより、どういう計画になるのか、新しい街づくりの絵を示してほしい」という意見も目立ち、市では、これらの意向を踏まえ事業の見直しに着手する予定で、今年中には新たなプランを権利者や審議会に提示する。

 尚、同審議会終了後、再度審議会を開き、委員の提案通り仮換地と交換される保留地を100平方メートルの仮換地と3平方メートルの付け保留地とする諮問を出し直すという決定を、市は委員に報告した。

 委員の話では、「全委員が了承したという話だった」という。