金メダルを手にする双木さん(右)と伊得さん。競技者として互いに尊敬しあう存在だ

金メダルを手にする双木さん(右)と伊得さん。競技者として互いに尊敬しあう存在だ

 元五輪選手をはじめ世界各国のベテラン競技者が集う「世界マスターズ陸上競技選手権」で、飯能市の選手が相次いで優勝を飾り、関係者の話題となっている。

 オーストラリアのパースで行われた2016年大会(昨年10月26~11月6日)走幅跳の男子M65クラス(65~69歳)で飯能市新町の双木広治さん(68)が5メートル7センチを記録し優勝、そして韓国の大邱(テグ)で開かれた2017年室内競技大会(今年3月19~26日)では飯能市川寺の伊得(いえ)正紀さん(62)が三段跳の男子M60クラス(60~64歳)で10メートル81センチを記録し優勝を果たした。

 旧知の2人は若い頃から活躍を続け、60代となった今も挑戦する心を忘れず、記録に挑み続けている。

 双木さんは飯能第一中学校時代に陸上を始め、飯能高校時代には走幅跳やリレーでインターハイに出場。昭和42年の埼玉国体には走幅跳の埼玉代表として出場した。7メートル27センチの自己記録を持つ。

 飯能市役所に勤務し、一時は競技から離れたが、飯能陸上競技協会の事務局を務めるようになり、選手としても復帰。県民体育大会市町村対抗戦などで活躍、マスターズ大会に出場するようになり、埼玉マスターズ陸上競技記録会では年代ごとに記録を残してきた。

 世界大会への出場は今回が初めて。開催地がオーストラリアだったことから、「旅行を兼ねて気軽に挑戦することにした」と夫妻で海を越えた。

 「5メートルを目標としていたが、練習では跳べていなかった」という双木さん。大会を楽しもうという気持ちが功を奏し、スピードに乗って絶好のタイミングで踏み切り、5メートル7センチを記録。身長167センチと小柄な体格ながら、長身の海外選手を相手に見事に優勝を果たし「世界の舞台で好記録を出せたことは自信になった」と笑顔を見せる。

 一方、伊得さんは聖望高校陸上部で三段跳の選手として新人戦で大会新記録を出すなど活躍、日本体育大学を経て小中学校の教諭を務めた。仕事の傍ら競技を続け、29歳の時、東日本実業団陸上競技選手権大会で自己ベストの15メートル50センチを記録した。

 マスターズでは埼玉マスターズ陸上競技記録会で30代以降の大会記録を次々と塗り替え、アジア大会へも積極的に出場。退職後は、かつての勤務先だった学校のグラウンドを借りて練習に励み、62歳を迎えた今年、2度目となる世界大会へ挑戦した。

 韓国・大邱の室内競技場で競技に臨んだ伊得さんは、足の状態が万全ではなく、5回の跳躍を終え3位だったが、「サポートしてくれた韓国の関係者に励まされ集中することができた」と最後の6本目で10メートル81センチを記録、2人を抜いて逆転優勝を果たした。

 三段跳で大切なのはリズムとフォームという。「優勝は嬉しいが、記録には満足していない」と世界大会を振り返り、60代での目標に掲げた11メートル50センチ突破を目指す。

 飯能の陸上界にも長年貢献してきた双木さんと伊得さんは旧知の仲で、跳躍種目の選手として尊敬しあう存在。金メダルを手に再会した2人は健闘を称え合い、「互いの活躍が刺激になる。これからも挑戦を続けたい」と話している。

 2人の活躍は地元関係者の間でも話題の的。飯能陸上競技協会会長で埼玉陸上競技協会の副会長を務める青木正義さんは、「今回の偉業達成をお祝いし、長年にわたる陸上競技に対する情熱に改めて敬意を表します」と祝福。

 双木さんについては、「双木さんと私は飯能一中、飯能高校と共に陸上部で活動し、昭和41年度の青森インターハイでは一緒にリレーメンバーとして出場していることもあり、何十年経った今でもこうして選手として活躍されていることは大変嬉しい」。

 伊得さんに対しては「現役時代はもとより、現在は飯能陸上競技協会の副会長として、また、日本陸上競技連盟の最高資格であるS級審判員資格を取得され、平成11年度には関東陸上競技協会から功労賞を受章するなど、多方面にわたり活躍している」と話し、「鉄人」2人の今後の一層の活躍を期待している。