産官学金連携し創業支援 個人事業主も対象に

 飯能市は国の認定を受け、今年度から市内で創業を希望する人や、創業間もない人を対象に、産官学金連携による一体的創業支援事業を開始。それに伴い創業支援補助金と新規出店促進事業補助金を拡充した。中心市街地の空き店舗対策などを目的に、創業支援体制を強化し、事業を始める意欲のある人を、市をはじめ関係諸機関全体でバックアップし、創業リスクや心理的壁を軽減し、市内での新規事業参入を容易にし市の活性化につなげていく。

 平成27年度に、市は空き店舗対策を目的とした新規出店補助金と、法人を対象とした創業支援補助金を創設。創業希望者等を支援してきた。

 事業開始2年間で、補助金を受けて13店舗が新規出店、創業支援を受けて設立した会社は18社に上る。一方、補助金を受けながら、うまくいかなかったのは新規出店の1例に留まり、事業は確実な成果を上げている。

 昨年12月、市は、創業支援の取組みを一層強化するため、産業競争力強化法に基づく「創業支援事業計画」を策定、国から認定を受け4月から事業の拡充を図った。

 狙いは、開業率を向上させ、市内の雇用確保にまでつなげていくこと。

 新規事業の柱は、産官学金それぞれの特性を活かした、創業希望者の創業後も含めたトータル支援体制の確立と、対象を、法人設立の場合だけでなく、個人事業主にまで拡大した創業支援補助金の拡充、さらに新規出店補助金の対象を市内全域に広げ、最大35万円だった補助金上限額を50万円まで引き上げた。

 産官学金連携は、飯能商工会議所などに代表される市内の産業界、行政機関として市、日本政策金融公庫、県西部地域振興センター、県産業振興公社、金融は、埼玉りそな、武蔵野、東和の各銀行、飯能、青梅の両信用金庫、学を代表して駿河台大学、そのほか、関東信越税理士会、県中小企業診断協会といったエキスパート集団が、一堂に連携しスクラムを組んで情報交換や、相談、あっせん、紹介、資金提供、補助金交付などを実施する。

 また、個人が、いきなり法人を設立して事業を始めていくことは、ハードルが高く二の足を踏むケースもあるため、法人設立をせずに創業する人にも補助金が交付できるように事業を拡大した。個人創業者は、法人市民税を負担する必要がなくなった。

 創業支援補助金は、市内在住か市内への転入予定の起業希望者が対象。法人設立予定者は、定款認証や登記費用に関わる費用等に対して最大20万円が補助上限額。法人設立はしない個人事業主の場合、設備・備品、広報費に関わる費用の最大50%、上限額5万円が補助額で、女性や4月1日時点で40歳以下の若い人の場合は、最大7万5000円がさらに加算される。

 受付・相談窓口は、商議所。市などの連携諸機関に相談に訪れた場合、商議所に誘導される。対象業種は、商議所会頭が交付に不適切と判断した事業を除き広く認められる。商議所に交付申請し補助金公布後、同所に実績報告書を5年間提出することが義務づけられている。

 新規出店補助金は、支給対象区域を市内全域にまで拡大。店舗の新築や改築、新規出店に関係する工事費など20万円以上掛かった物で、経費の10%、市内在住者は最大50万円(市が指定する中心市街地内に出店)を上限に補助金を交付する。市外在住者が、中心市街地外で出店する場合は、10万円が限度額。

 対象業種は、小売業、飲食業、サービス業と、市長が適当と認める業種。

 補助金申請の事前相談などの窓口は市産業振興課。着工前に市に申請書を提出し工事完了後に実績報告書を提出する。

 条件が整えば、二つの補助金を合わせて受け取ることも可能。

 関係諸機関の連携支援策として、セミナーや教室の開催、創業希望者の発掘、教材の提供、資金繰りなど金融相談、経営相談等、補助金を交付して創業したら支援は終わりではなく、創業後のサポート体制も整えている。

 また、1年以上事業を継続した場合、貸付利率1・2%で上限1250万円の中小企業小口資金融資制度も利用できる。

 申込・問合せは商議所974・3111か、市産業振興課986・5083へ。