飯能市の大久保勝市長が先月27日、市役所内で行われた「水産多面的機能発揮対策にかかる協定書」の調印式前の出席者(漁協関係者)との雑談中、市長の元気さに話題が及んだ際、その理由について、市内には県水配水地域があるにも関わらず、「入間川の水を飲んでますから」と発言した。

 市内では、入間川右岸の岩渕や落合地区などに「不味い水」県水が配水されている。岩渕自治会については、先の総会で県水の割合を減量するよう求める市への要望書提出を全会一致で可決している。

 そうした最中、非公式とはいえ、あたかも自身の健康体は入間川のお陰とのニュアンスの、県水配水地域の住民心情を逆撫でするような市長発言は、同地域を中心に波紋を広げそうだ。調印式の様子は文化新聞、飯能ケーブルテレビが取材していた。

 調印前の出席者と大久保市長とのやりとりを再現すると、こうなる。調印式の会場は秘書室隣の応接室。

 市長「どうぞ、お座りください」

 出席者「(市長は)元気だいね」

 市長「空元気がある」

 出席者「いやいや、いい水を飲んでるから」

 市長「いい水を飲んでる。入間川の水を飲んでますからね」

 出席者「まあ、今日は一つ……」

 市長「こちらこそよろしくお願い申し上げます」

 飯能市は、平成12年から県水を導入、現在1日4000トンを受水し、入間川右岸地区の下畑、岩渕、阿須、落合、矢颪、征矢町、美杉台6・7丁目、茜台地区などに配水している。

 飯能に送水されてきた県水は、当初、大河原の受水施設で入間川の水5%に対し、県水95%の割合で混合され、右岸地区に配水。住民への説明や同意も得ないまま、県水は配水されたことから、地域住民の多くが、「慣れ親しんだ美味しい飯能水」から、一夜にして「生ぬるく」「不味い」県水に切り替わった異変に驚いた。

 その後、従前の純粋の飯能水に戻そうとする住民らの粘り強い地道な活動が実を結んでか、同21年に市はブレンド率について入間川水35%、県水65%に緩和。

 しかし、混合率こそ変わったものの、地区に送水されてくる県水に変わりはなく、昨年は入間川右岸地区住民たちが集まって県水問題に立ち向かう「安全でおいしい飯能水にもどしてもらう会」(山崎文子代表)が、1126筆の署名とともに、従来の飯能の水を給水してほしいとする陳情書を、大久保勝市長宛に提出して、再考を求めるなどした経緯がある。

 市長発言は、協定調印式に臨んだ〝川の番人〟でもある漁協関係者へのリップサービスであったとしても、県水を望んで飲んでいるのではない地域への配慮が感じられない軽率発言と、市民から反感を買いそうだ。