2100校へ「遠足企画書」 児童向けガイドマップも作成

季節の花が魅力の巾着田。今は日和田山をバックに咲く菜の花が最盛期

 巾着田や日和田山を中心とした高麗郷一帯を「遠足の聖地」と位置付け、県内・都内の小学校などに来訪を呼びかけている日高市は、市の魅力や遠足モデルコースの提案を盛り込んだ「遠足企画書」を作成し約2100校へ送付したほか、遠足に訪れた子どもたちに配布する「遠足ガイドマップ」を作成した。

 市によると平成27年度に遠足で巾着田を訪れたのは145件・1万5055人。4~5月をピークに、秋にも多くの児童がやってくる。積極的な誘致で遠足来訪者をさらに増やすことで、子どもたちを通じて市の魅力を広く発信し、将来の移住・定住促進につなげるのが狙いだ。

 遠足企画書の作成に先立ち、市は昨年度、県内・都内の小学校約2100校を対象に「遠足の行き先にどのような場所を希望しているのか」などについてアンケート調査を実施し、約500校から回答を得た。

 回答では、遠足地に求める条件として「トイレや駐車場が充実していることが重要」「バスや電車を利用するので交通の便が良い場所がいい」「各学年のさまざまな学習に対応したコースや児童に取って役立つものがあると良い」「どのような楽しみ方や学び方があるのか市の魅力を教えて欲しい」などが多く寄せられた。

 これらの声をもとに作成した企画書は、「ようこそ、関東平野が一望できる日和田山、県下有数の清流高麗川、遠足の聖地日高市へ」として、高麗郷周辺の魅力をまとめ、学年別にモデルコースを提案するもの。

 遠足地としての魅力については、「自然を学ぶ」として、巾着田を「日本最大級の群生地、500万本の曼殊沙華」「ふれあい広場や河原はお弁当に最適」「清流高麗川やビオトープでの生き物観察」「清潔感のあるトイレ」などと紹介。

 日和田山については「山頂まで約2キロ、1時間程度で登ることができ、男坂は小学校中学年向きの岩場、女坂は低学年でも登ることのできるルート。関東平野を一望でき、東京スカイツリーや高層ビル群も見ることができる」などとした。

 また、「歴史を学ぶ」として市が所有する高麗郷古民家、高麗郷民俗資料館のほか、高麗神社、高麗家住宅、聖天院の見どころを記した。

 これらの魅力を活かした遠足モデルコースについては、1・2年生低学年用「巾着田で思いっきり遊ぼう」、3・4年生中学年用「日和田山から日本の中心を一望しよう」、5・6年生高学年用「体験学習・歴史散歩にチャレンジ」の3つのコースを設定し、所要時間や見どころをまとめた。

 市はこの企画書をアンケートの送付先と同じ2100校へ送り、より多くの学校の来訪を呼びかけている。

 実際に遠足に訪れた児童に配布する遠足ガイドマップは、高麗郷周辺の地図、日和田山拡大図、名所を写真で生涯する「ひだかイチおしスポット」などを盛り込み、子どもたちに分かりやすくコースを示した。

 市は今年度、遠足の聖地プロジェクトの一環として、巾着田の木製トラス橋「あいあい橋」やログトイレの改修、日和田山の間伐や山道整備、高麗郷古民家の裏山整備などに取り組む。

 また、雨天時の昼食場所の確保などを課題に挙げ、遠足に訪れる学校のニーズに沿った環境整備の充実を図りたいとしている。