住民主体による支援構築 東吾野がいち早く組織立ち上げ

東吾野に誕生した生活支援協力委員

 平成27年4月の介護保険制度の改正に伴い、支援を必要とする人へのサービスは全国一律で提供されていたが、介護度の軽い要支援1、2級の認定者については、各市町村が地域の実情に合った独自の取り組みを構築することになった。

 飯能市では、市民、関係機関・団体、事業所と連携しながら、地域で高齢者を支えていくための新しい仕組みづくりが進められており、このうち東吾野地区では、「ふくしの森・東吾野」(石田安良代表)が中心となって同事業を推進し、市内でもいち早くサービス提供の体制を整え、研修を実施。このほど25人の生活支援協力委員が誕生した。

 平成37年(2025年)には団塊の世代の人々が75歳以上を迎え、同市でもさらに高齢化が進展することが予想されている。そこで、今回の制度改正では、「予防介護・日常生活支援総合事業」により、地域の実情に応じた飯能市独自の仕組みを構築できることになった。

 要支援1、2級というのは、▽立ち上がりや歩行などの身体的な動作が不安な状態▽掃除や洗濯などの家事、薬の管理など生活する上で必要な活動に支援が必要な状態▽身体状況の改善が見込める状態――のこと。

 専門的な介護のサービスを必要とする人は、これまで通り事業所の専門職によるサービスを利用するが、日常の簡易的な家事援助などのサービスについては、各地域のサービス提供者や「シルバー人材センター」などの有償ボランティアによるサービスを利用する。

 東吾野地区では、要支援1、2級の人たちは現状では少ないが、平成37年ごろになると約6・4倍増加することが予想されている。

 そこで「ふくしの森・東吾野」では、いち早くサービス提供の体制を整え、積極的に推進していくこととし、支援協力委員を募集したところ多くの人が手を上げ、市主催で支援のための講習会を2月中に2日間にわたり実施し、職務などについて学んだ。

 生活支援協力員は、サービス利用者が主に生活する居室などの清掃、洗濯、ごみ出しの3点。1回に3つ全てを行うのではなく、利用者や家族と相談し、その日に行うサービス内容を決める。

 東吾野地区行政センターで行われた修了証の交付式で、社会福祉協議会の会長も務める大久保勝市長は「この地区はすでに住民の方々が主体となり、自発的に支え合いをやって頂いているが、今日からまた、皆さんのお力をお借りしたい」と期待。

 石田代表は「高齢化が進むことが予想され、大変だと言っているだけではなく、いち早く備えること、住民同士で助け合う関係を作っていけたらいいと思う。今回も住民主体で飯能市と社協と三者一体となって組織づくりを行ったが、飯能市では初めてであるし、埼玉県の中でも住民が取り組む支援組織は初めての誕生かと思う。私たちはそれを誇りに思い、地域づくりを皆でしてきたい。そしてそれが支える側の生きがいにもつながっていくと思う」と話した。

 今後も講習会を行うほか、サービスの周知を図り、利用希望者の状況によりサービスを開始していく。