3万人の安全守る拠点 消防署稲荷分署で開署式

出席者に紹介される稲荷分署員

 飯能市街地の防災の要「飯能日高消防署稲荷分署(同市稲荷町、奥泉芳宏分署長)」の開署式が挙行され、100人を超える関係者、来賓が参加し、同署の建て替え工事完了を祝った。

 同署は、昭和42年飯能市消防本部消防署として開署。平成8年、埼玉西部広域事務組合に広域合併したことに伴い、飯能消防署稲荷分署に改名。25年、埼玉西部消防組合(所沢市、管理者・藤本正人所沢市長)に広域合併し、現在の名称に。

 25年に発足した同組合は、所沢市、飯能市、狭山市、入間市、日高市の5市で構成され、1本部、5署14分署体制。消防車両120台、職員数862人で、広域化というスケールメリットを最大限生かし、域内人口約78万5000人の安全を守っている。稲荷分署は、その一分署。

 同分署の旧庁舎は、老朽化のため、首都直下型地震などの大規模災害に耐えうるだけの耐震性や、機能性が十分ではなくなり、隣接する飯能消防団本部・第2分団詰所とともに、同地での建て替え工事が行われていた。

 同分署の管轄区域は、飯能中心市街と、その周辺地域の飯能市南東部。西は山間部の入口となる久須美、小岩井、苅生を含む26地区で、管轄面積は23・62平方キロメートル、1万2809世帯、人口3万1005人(平成28年1月現在)に及ぶ。

 建て替え工事は、昨年5月に着工し、先月6日に完成した。用地取得費用などを含む総工費は、約3億9000万円、建築は、同市仲町の矢島工務店(矢島巌代表)が担当。

 鉄骨造り2階建てで、1階は約480平方メートルで、車庫、事務室、救急隊仮眠室、女性仮眠室など。2階は、約220平方メートルで、消防隊仮眠室、食堂などを備える。

 配備車両は、消防ポンプ自動車、水槽付消防ポンプ自動車、高規格救急自動車、小型ポンプを備えた積載車など計5台。

 非常発電設備、40トンの防火水槽なども備える。

 新庁舎は、防災拠点としての機能を高め、十分な耐震性があり、防火上十分な安全が確保された構造。24時間緊急出動に対応するため、出動時の動線や、待機時の生活環境両面に配慮した施設の配置になっている。

 旧庁舎は、車庫出入り口が、東側道路に面していたため、東側道路が渋滞していた場合、緊急の出動に支障をきたす可能性もあったが、新庁舎の車庫出入り口は、敷地内南側に設けられ、東側道路だけでなく、西側道路にも出られるようになった。

 玄関前には、緩やかなスロープを設置し、車イス利用者も入館しやすい配慮がされている。また、防火衣のロッカーは、幅が広くドアがなく、回転式で緊急時の出動に対応した作りになっている。

 11人の3部体制で33人が同署に勤務。緊急指令が出てから、2、3分で出動可能。飯能市街地と管轄地域に住む市民の安全を守る。

 管理者の藤本所沢市長は、「安全で快適なまち作りを進めるうえで、誠に喜ばしい限りです。今後も市民生活の安全を守るため全力を傾注します」と式辞を述べ、副管理者で同分署管轄区域の大久保勝飯能市長は、「気持ちのリニューアルをして頂き、当地に出来て良かった、と思える素晴らしい消防運営を期待したい」とあいさつ。

 その他、「防災拠点として誇り高き郷土を守り、未来に向けたまち作りに大きな寄与をする事を確信しています」(野田直人同組合議会議長)、「稲荷分署は、飯能市民の生命、財産を守る、まさしく重要拠点。既に職務遂行に当たって頂き感謝します」(砂長恒夫飯能市議会議長)が祝辞を述べたほか、内沼博史県議会議員、湯本賢飯能警察署長、飯能市議会議員などが次々祝いの言葉を述べた。

 最後に、荒幡憲作埼玉西部消防局長が、藤本所沢市長に謝辞を述べ閉式。希望者は、同署員の案内で、新庁舎の内覧に参加し、熱心に質問する姿も見られた。