県無形民俗文化財指定を報告 落合西光寺の「双盤念仏」

落合地区で継承されている念仏について、身振り手振りで市長に説明する小島さん(右3人目)

 飯能市落合地区の西光寺(加藤秀明住職)檀家などで構成される保存会(小島正義会長)が代々継承している「落合西光寺双盤念仏」の県無形民俗文化財指定に伴い、保存会メンバーが3日、飯能市役所に大久保勝市長を訪ね、喜びの指定報告を行った。内沼博史県議、地元落合地区在住の中元太市議が同行した。

 報告に訪れたのは、会長の小島さん、相談役の小嶋一さん、会員の清水真之さん、大久保利明さんの4人。

 一行は、市生涯学習課の案内により市長応接室で今井直己教育長、大久保市長と対面。

 3月24日で交付された指定書を提示しながら、小島さん(67)が「これもひとえに生涯学習課を始め、市役所の皆さん、西光寺の関係者方々のおかげ。これを頂いたことは非常に名誉なことだが、それ以上に県指定ということで責任の重さを感じる」と話し、江戸時代末期、地区に伝えられた同念仏の沿革や金属供出で一旦は活動が途絶えたものの、檀家らの熱意で昭和52年に鉦を新調して復活したことなどを説明。

 報告を受けた大久保市長は、「心からお祝いを申し上げる。今日は小島会長さん以下、皆さん方に吉報を持ってきて頂いた。県の無形民俗文化財の指定を受けたことは、当該地区だけでなく、飯能市のこの上の無い喜び。歴史あるものが、次世代に残されていくということは素晴らしい」と感嘆。「このような慶事を心より嬉しく思う。我々もご支援をさせて頂く。西光寺双盤念仏の限りないご隆盛をご祈念し、皆さま方への感謝の言葉としたい」などと喜ぶとともに、後継者育成にも尽力する保存会の活動に敬意を示した。

 双盤念仏は、枠台に吊るした双盤と呼ばれる直径40センチほどの鉦と太鼓を打ち鳴らしながら、独特の節回しで念仏を唱える芸能。構成は太鼓1人に鉦4人。落合の西光寺双盤念仏の流派は浅草流で、同寺の七世住職が文化文政期に、この地にもたらしたと伝えられている。

 口伝のため、習得には鉦だけでも数年を要し、奏者の育成が会活動の最重要課題だが、落合地区については復活以降、寸断なく受け継がれている。現保存会の平均年齢は60歳代、13~14人が会員に名を連ね、技の習熟に励んでいる。

 地区民へのお披露目は、「落合の薬師様」として広く信仰されている西光寺仏堂の「薬師堂(瑠璃殿)」(落合276)の4月12日、10月12日の年2回の縁日。今月12日の春季例大祭では午後1時から念仏が奉納される。雨天の場合は西光寺本堂。

 同念仏については、昭和62年度に市の無形民俗文化財、平成21年度には県の選択無形民俗文化財指定されている。