大久保市長のトークに笑顔が絶えなかった出場選手ら

大久保市長のトークに笑顔が絶えなかった出場選手ら

 「来年は優勝して、映画『チアダン』のモデル校にも負けない注目を」と、喜びの中にも悔しさをにじませたのは、飯能高校チアダンス部主将の伊関玲さん(2年生)。

 同部は、米国テキサス州ダラスで先月開催された「NDA全米※オールスター・チアダンス選手権」シニアジャズ部門に出場し2年連続準優勝。同部メンバーが飯能市役所を表敬訪問し大久保勝市長らに結果報告した。

 映画のモデルは福井商業高で、こちらはチアダンス部門中心。全米大会に8回出場し5連覇を含む7回優勝。

 飯能高は優勝経験はないが、ジャズ部門で全米大会に出場した日本の高校は、これまで同校以外になく準Vは日本最高の成績。

 一方、チアダンス(バラエティ)部門は、平成16年以来、福井商高以外にも神奈川県立金沢総合高が2回優勝しているほか、所沢北高や、厚木高も栄冠に輝いており、準Vも3校が4回獲得している。

 チアダンス部門とジャズ部門に、競技レベルに優劣の差はなく、ジャズの本場米国チームと戦って勝ち取った飯能高の2年連続準Vは、福井商高に少しも見劣りがしない快挙だ。

 チアダンスは、チアリーディングから、ダンスを独立させたスポーツ。約2分半の演技時間に、両手に飾りを持って踊るPOM、ラインダンス、ジャズ、ストリート系のヒップホップの要素を盛り込んだダンスを披露し、一体性、表現力、完成度を競うアメリカ発の競技。

 チアダンス部門は、これら要素をすべて含むが、POM、ヒップホップ、ジャズは、それぞれ独立特化した部門がある。ジャズは、バレーを基本としたダンスに特化し、正確なダンス技術に裏打ちされた流れるようなダンスを、チーム全体が均一性や一体感を持って演じ切ることが求められる。

 同部が、ここまで強くなったのは、上田勝彦教諭が顧問に就任したことから。上田さんは、まったく未経験ながら、前任の入間向陽高校のソングリーダー部(現在)の顧問を引き受けたことがきっかけで、チアダンス指導の道に。入間向陽高のチアダンスレベルを引き上げ飯能高校に転任した。「飯能高に来て、かなり踊れる子がいて、これはやらせて見たらおもしろい」と、思ったという。

 ジャズを選んだのは、ジャズはバレエやダンスの基礎力とテクニックが重視され、技術的な習得に難しさがあり、時間も掛かるが創意工夫も必要で、器用に全部をこなす必要があるチアダンスよりも、部門に特化して集中して高い技術を習得させる方が、飯能高の生徒には向いている、と判断。

 既にジャズ部門の実力校になっていた入間向陽高を目標に、練習を重ねてきた結果が、現在の飛躍につながった。

 映画でも紹介された福井商高の指導法は、徹底した管理・規制で知られるが、同校の指導法は、「まったく正反対のやり方」(上田顧問)で、基本的な礼儀やあいさつには厳しいが、細かい規制をせず、できる限り生徒の自主性に任せ伸び伸びさせるやり方。

 この指導法が、同校生徒にマッチしたのか、平成26年、全日本チアダンス選手権でチアダンス部門とジャズ部門の2部門3連覇を狙っていた福井商高の牙城の一角を崩し、飯能高がジャズ部門を制覇。昨年も飯能高が優勝し、福井商高は飯能高に敗れてから3年連続で同部門の栄冠から遠のいている。

 「うまくなる子たちとは思っていたが、ここまでうまくなるとは。予想を超えている」と、上田顧問も生徒の成長に驚く。

 今年も、米国制覇に一歩届かなかったが、慣れない外国での過密日程の中、優勝チームに100点満点中で0・71ポイント差まで追い上げ、魅力的なパフォーマンスをしたチームに与えられる賞と、斬新なチームに与えられる賞も受賞した。

 表敬訪問の席上、上田顧問は、「生徒たちが日一日と成長し力を最大限出し切りました。さらに高みを目指していきます」とあいさつ。

 伊関主将は、「今でもすごく悔しいです」と、無念さをかみしめていた。

 同校チアダンス部は、18人の出場選手中4人が卒業するが、2年生が12人を占めるチーム編成。3月27日、千葉県の幕張でチアダンスの全国大会が開催され、同校は惜しくも2位。28年度は、それまで国内では負け知らずだったため、最後まで負けなしで通すという目標はかなわず有終の美を飾ることはできなかった。

 しかし、伊関さんらは「今後に体験を活かして米国での優勝を目指します」と、次の目標を既に見定めている。

 ※NDAの規定により、「オールスター」に出場した年と、「ナショナル」に出場した年があり、福井商高などもオールスターに出場した年とナショナルに参加したときがある。オールスターの場合、チアダンス部門はバラエティ部門と呼ばれる。