飯能河原の魅力アップ 都市回廊空間整備へ

ウッドデッキを活用したイベント

 第4回「飯能河原利用調整協議会」(吉田行男会長)が10日、飯能市役所で開かれた。

 その中で河川敷を平成29年度から利活用する業者を決める施設使用者選定等委員会が開催され、昨年7月から実証実験を行い、内定していた(一社)奥むさし飯能観光協会(柏木正之会長)と、宮沢湖にムーミンのテーマパークを開園するフィンテックグローバル社(東京都港区虎ノ門、玉井信光社長)に、全会一致で正式決定した。

 契約期間は平成31年度までの3か年。飯能河原を中心とする入間川周辺は、川の再生に取り組む埼玉県の「川の国埼玉 はつらつプロジェクト」に昨年選定されている。

 県と市が推進する癒しと水に親しむ水辺空間を創出するプロジェクト事業と、協議会の取組を連携させ、今月末までに各委員等から利活用の提案・意見を集め、同協議会による利活用計画の作成に着手する。

 飯能河原は、天覧山周辺ととともに、「宮沢湖周辺」「あけぼの子どもの森公園周辺」を結ぶ、都市回廊空間整備事業の中核。今回、飯能河原を商業利用する会社が決定したことで、市を訪れる人を増やし、その人々を町なかや山間地域に誘導し飯能市を発展都市に導く取組の一翼がより具体化した。

 商業利用が実施されるのは、中央公民館下公衆トイレ前のウッドデッキを中心にした「ステージ広場」及び、その周辺3000平方メートルと、その上流にある堰及び、その右岸側及び左岸を含むH型形状の地域。

 ステージ広場の主に貸し出し利用は、飯能観光協会、その上流の堰付近は、フィ社が常設バーベキュー場を運営する「リバランタ事業」を展開する。

 ステージ広場は、地域活性化に役立つ物販やイベントを開催する事業者・団体等に有料での貸し出しを行うほか、賑わい創出事業としてステージを中心としたエリアで観光イベントの開催や、同協会会員による特産品、地元野菜などの販売を行う。

 観光イベントは、4月に飯能さくらまつり、マス釣り大会、8月は金魚すくい大会、飯能納涼花火大会を開催するほか、夏季のビアガーデンオープン、晩秋から初春にかけての閑散期の企画なども検討する。

 広場の貸し出しについては、ウッドデッキ部分のステージ広場、オプションエリア①(デッキ河川側の階段部分)、オプションエリア②(広場前の河川及び周辺の岸)の3か所に分ける。

利用料金は、1時間当たりで設定し、ステージが商業行為ありの場合2000円、なしで1000円、オプション①、②はそれぞれ1500円、500円。

 利用できる事業者・団体は、飯能河原の魅力的な水辺環境を理解し、地域に活性化につなげる事ができるイベントで、特に物販の販売などの商行為を行う場合は、同観光協会の会員で、市が後援する事業を開催する団体に限られる。上品で落ち着いた環境を保ち、飯能河原の魅力度アップを図るため、広場の使用には制限を設けた。

 一方、リバランタは、県を代表する清流、入間川の飯能河原で、手ぶらで楽しめるバーベキューを売りにした事業。

 昨年7月から10月までの117日間(稼働日89日)に行われた実証実験の結果、5176人が来場。実施されたアンケ―トでは、手ぶらで利用でき、駅から近く、清潔感があって、自然豊かといった点に満足度が高く、利用者の95%、4912人がまた来たいと回答している。

 豊かな緑に囲まれた飯能河原で、おしゃれで清潔感のある場所を演出し、子どもたちが楽しめる最高の水辺(自然を受け入れ楽しむ、北欧のライフスタイル)をテーマにする。

 メインターゲットは、西武池袋線沿いに住むファミリー層。サブターゲットは、情報発信力に期待し10歳代後半から20歳代後半の女性。

 実施内容は、バーベキュー、軽食販売、水辺で楽しむアクティビティ。

 たき火でソーセージを焼く北欧風バーベキュー・コッコマッカラが楽しめ、食材として牛肉ステーキ、カットの豚・鶏肉、採れたて土付き状態での飯能野菜、欧米ではバーベキューの定番マシュマロなどを提供する。

 また、実証実験ではなかったが、飯能市民など近郊の人も気軽に立ち寄れるように、コーヒー、お酒、ジュース、サンドウィッチ、パン、スナック、ポップコーン、スムージーなど軽食メニューも加える。パンは地元のパン屋のもの。

 アクティビティは、今後、市や青年会議所、市民らと検討を重ねていく予定。

 実施予定期間は、4月29日から10月30日までの土日祝日、7月24日から8月31日の夏休み期間は毎日。

 フィ社では、実証実験と比較して、毎年度10%の集客アップを見込んでいる。また、来年秋以降順次開業していくメッツァと奥むさし自然遊歩道でつなぎ、一層の魅力度アップを図る。

 さらに、県が進める「はつらつプロジェクト」では、飯能河原の親水施設整備のほか、その入間川上流の吾妻峡に掛かるドレミファ橋(同市永田、大河原)から、飯能河原下流の矢久橋(稲荷町、矢颪)までの川沿い散策路整備が実施される。

 協議会の会員からは、「バーベキューを楽しむだけでなく、豊かな自然を保全し楽しめるものにしてほしい」「12月着工のスケジュールが決定済みのようで、市民の要望が反映されるのか」といった要望や、「バーベキューの煙に苦情があり、将来は煙の出ないものに」「標識、看板の表示、デザインの統一を図るべき」といった提案があったほか、実証実験でも苦情が多かったトイレに関する要望、意見が目立った。

 今回の2社の決定を受けて、市は各委員から提案・意見等を募集し、大まかな利活用計画を6月中頃までに作成。同協議会で活用方法に即した施設整備について検討を重ねながら、それを受けて県が概略設計を12月までに終え、12月から親水設備工事に着手する予定。