飯能地方で大規模な地震が発生した場合、施設の損壊などにより上水道の供給が遮断される断水被害が想定されることから、飯能市危機管理室は対応策の一つとして、市内全域にどのくらいの数の井戸があるのかを自治会の協力を得ながら調査した。結果、655の井戸が存在し、うち約半数の所有者が災害発生時、地域住民に井戸水を提供可と回答を寄せた。

 飯能市防災会議(会長・大久保勝飯能市長)が平成28年3月にまとめた「地域防災計画」では、立川から名栗に伸びる「立川断層帯」(名栗断層と立川断層の2つの断層の総称。総延長約30キロメートル)で地震が発生すると、市域は震度6強の大きな揺れに見舞われると指摘。

 ライフラインに甚大な被害が発生し、上水道についても施設の破損などによって、市街地を中心に2413世帯で断水が生じ、6524人に影響が及ぶといった被害想定がされている。

 上水道の送水停止から復旧までの間、井戸は臨時の水源として、市民生活を支える。そこで、危機管理室は昨年、災害に備え、自治会連合会を通して市内にどのくらいの数の井戸が現存しているのかを調べた。

 井戸の管理者、所在地とともに井戸を日常的に使用しているか、井戸水を汲み上げる方法は何か、水質検査の実施状況など7項目で調査。その結果、655の井戸が市内にあり、大半が洗濯やトイレ、掃除といった飲用以外の生活用水として日常的に使われていることが分かった。

 さらに、井戸があると回答した全所有者に、災害時、地域住民に生活用水として提供してもらえるか、所在地などの情報を一般に公開しても良いかと尋ねると、約300の井戸所有者が快諾した。

 災害時の井戸水提供の承諾が得られた井戸所有者と市は今後、個々に協定を締結した上で、「災害時協力井戸」として一般に公開する。また、所有者には「災害時協力井戸」「災害時に、生活用水を提供することができる井戸があります」「飯能市」と書かれた縦22センチ、横6センチほどの市交付の標識を、市民が確認しやすい場所に取り付けてもらうことにしている。

 井戸水の提供は、あくまでもボランティア。水のやり手と貰い手側との金銭の授受は、発生しない。助け合い精神に基づく取り組みであることから、井戸の維持管理費についても市からの補助金支出などはないという。

 井戸水の使用については生活用水に限定しており、飲用不可なこと。また、汲み上げの方法が手押しポンプのような手動式やつるべ式ではなく、電動の井戸だと停電時には機能しないなどといった点が、課題。

 が、トイレや洗い物に必要不可欠な水が、断水の際に近隣の井戸から入手できる災害時協力井戸の指定は市民にとって朗報。