イノシシやサル、シカなどの野生鳥獣による農作物被害が深刻な飯能市は、オール飯能体制で鳥獣被害対策を推進するため、職員自らが現地に出動して駆除などを行う全国でも珍しい「市鳥獣被害対策隊」の組織化に向け、準備を進めている。

 先月開いた2回の説明会には、合わせて約200人の職員が出席するなど、意識の高さを伺わせている。

 計画では、今月15日までの間で隊員を募集し、4月中の市長任命式を経て、対策隊として活動に着手する。農林業被害が著しい吾野、東吾野、原市場、南高麗、名栗の山間5地区から先行的に隊を編制し、その後、加治、精明地区といった旧村単位の地区ごとに組織化する。

 市民から農林課や地区行政センターに野生鳥獣の出没の通報があり、担当課が早急な対応が必要と判断すると、本庁舎や出先機関など各部署に散っている隊員へ出動要請がかかり、要請を受けた隊員は、所属長の承認を受けた後、隊として現地に向け急行するという活動フロー。その際、隊員は鳥獣の追い払い用のため市から事前貸与されている「パチンコ」を携行する。

 隊員は、「新緑ツーデーマーチ」で関係者が着ているお揃いのグリーンのジャンバーを全員が着用するとともに、腕に腕章も巻いて隊員であることを周囲に周知する。

 立ち上げのための説明会は先月16日、27日の2回、業務終了後の市役所内で開かれ、合計201人の職員が出席した。職員は野生鳥獣がおよぼす市内農林業への被害や出没状況を把握、問題の重大性を認識、対策隊員になる意気込みをアピールした。

 農林課によると、市内でのイノシシやシカ、サル、アライグマといった野生鳥獣による平成27年度の被害は、農業被害だけでも250件、実に約4500万円の被害金額におよび、これは県全体の約4割を占めるほどという。

 市民から寄せられた被害件数についても、平成19年度以降増加し、同19年度で54件だったものが、同28年度になると400件に跳ね上がっている。

 これまで、農林課では有害鳥獣捕獲や電気柵の設置など、市民の自己防衛対策に対する補助など、対策を講じてきたが、「被害の減少につながる抜本的な対策につながっていない」と、説明会では苦しい胸のうちを明かした。

 「地域のためにできることから始めよう」と職員自らが地域で被害対策に従事する異例の飯能市鳥獣被害対策隊。いよいよ、来月始動する。