事後修繕から予防保全型へ 公共施設の維持管理

公表されている施設等総合管理計画(写真は市役所3階市政資料コーナー)

 飯能市の公共施設等を総合的、計画的に管理するための「市公共施設等総合管理計画」(素案)のパブリックコメントが20日から始まった。同計画は3月3日までの間、市内各地区行政センターなど主要な公共施設で公開されている。

 市公共施設等総合管理計画は、老朽化への対応が課題となっている市庁舎や学校、各地区行政センターなど全公共施設の現状と今後の維持管理に関する基本的な考え方などを示したもの。

 飯能市の小中学校や市営住宅、保育所などの各施設や上下水道などの社会基盤は、昭和40年代からの急激な人口増加を背景に整備されてきた。

 現在、これら多くの施設は建設から30年以上が経過し、老朽化が進んでおり、修繕など維持管理費は増大し、近い将来には一斉に更新や大規模改修の時期を迎える。が、一方で人口減少など社会情勢の変化などにより、市の財政は厳しい状況に置かれ、公共施設の老朽化問題に対して、中・長期視点に立って対応することが必要となっている。

 公共施設の建て替えや改修には多額の更新費用が必要だ。計画では施設の更新費用(今後40年間保有し続けた場合)について試算しており、それによると道路や橋梁が約467億円、上水道施設約440億円、下水道施設約333億円、公共施設については約540億円と推計された。

 老年人口の増加に伴う福祉関連経費の増加、生産年齢人口の減少に伴う市税収入の減少が懸念される中、公共施設を維持管理する財源確保は困難を極めると予想されている。

 公共施設を今後、どう維持していくか。まとめられた計画では、この課題への対応として、3つのシナリオを挙げている。

 1つは、老朽化問題を先送りにすることによる公共施設の機能停止や施設の崩壊。2つ目として財政状況を省みずに現在の施設を維持し続け、修繕費の増加、財源確保のために借り入れた地方債の増大により過大な財政負担を招く。3つ目として公共施設をマネジメントすることにより、公共施設の全体最適化と持続可能な財政運営を両立すること。

 飯能市については、3番目のシナリオの実現をめざし、公共施設マネジメントに取り組むとし、パブコメ中の計画では「必要なのはサービスであり、施設そのものではない」との考え方のもと、①総量の最適化②施設(機能)の再編・再配置③効果的・効率的な管理運営の3つの基本方針を設定した。総量の最適化では、公共施設の総延床面積の増加につながる新たな施設の設置はしないと定めた。

 計画の期間は、平成29年度から同58年度までの30年間。同計画の対象施設は公共施設として公民館、小中学校、市営住宅など186施設。インフラとしては道路、橋梁、公園・緑地、上下水道施設。

 維持管理・修繕・更新等の実施方針が示され、公共施設については施設ごとに個別施設計画を策定し、優先度、緊急度、予算の平準化を考慮しながら、計画的に維持管理を行う。

また、施設の維持管理については不具合が生じてから修繕を行う「事後保全型」が主流となっているが、施設の耐用年数を考慮しながら、点検等による不具合箇所の早期発見、早期対応による維持補修費の縮減が図れる「予防保全型」への転換を務めるなどとしている。

 計画が閲覧できる施設は、市役所3階の市政資料コーナー、飯能駅南口の飯能駅サービスコーナー、丸広7階の市民活動センター、各地区行政センター、総合福祉センター、市立図書館、郷土館。