美術展へ向けて、絵筆を走らせる山田さん

美術展へ向けて、絵筆を走らせる山田さん

 飯能市名栗湖畔にある西川材加工施設「NPO法人名栗カヌー工房」の代表、山田直行さん(67)が今、名栗を発端にした慶応2年の「武州一揆」を画布に再現している。

 2月8日から、東京都六本木の国立新美術館で開幕する、第15回「NAU21世紀美術連立展」への出展作品として仕上げているもの。山田さんは、同展の会長も務める。

 作品は、縦約160センチ、横約195センチの油彩(150号)。鋸、鎌、斧などの農具を振りかざした農民集団の、今まさに豪商になだれ込もうとする瞬間が躍動感あふれる構図で描かれている。

 幕末の物価高騰をきっかけに、農民の不満が爆発し、上名栗村(当時)で蜂起した武州一揆は、不条理な世の中を変えようとする人々の熱き闘争。

 山田さんは、名栗に居を構えて数十年が経つが、森と渓流の豊かな自然とともに、そんな気概ある農民が礎を築いた名栗に惹かれ、入間市から引っ越した。

 NAU21世紀美術連立展の会長は、一昨年に就任。これまでは、一会員として立体アート作品を搬入してきたが、8日から始まる同展には、変革を遂げようと立ち上がった武州の農民たちに敬意を表し、また最近の目まぐるしい内外の社会情勢の変化から作品名を「チェンジ」として、想像した一揆の一場面を平面で具象的に表現した。

 カヌー工房の木製カヌー製作の国内第一人者として、愛好家の間では広く知られている山田さんだが、一方で彫刻家としての肩書も持つ。

 「無重力展83」(宮崎県美術館)、87年「埼玉美術祭典」(埼玉県立近代美術館)、88年にはニューヨークの「open house gallery」で個展を開いてきた。有間ダム入り口の道路壁面を飾っている武州一揆テーマの絵画も、自身の作だ。

 「油絵を描くのは20年ぶり。展覧会終了後は、カヌー工房に展示し、ここが武州一揆発祥の地であることを、来館者に伝えていきたい」と話している。