介護者の腰の負担軽減 太行路で介護ロボ導入

太行路でのデモンストレーション

 介護する人の腰の負担を大幅に軽減する「介護用ロボット」が2月10日、飯能市下名栗の「総合ケアセンター太行路」に導入される。

 国が、平成27年度補正予算から盛り込んだ「介護ロボット等導入支援事業特例交付金」を活用したもので、飯能市内の事業所が、介護用ロボットを現場に投入するのは初めて。

 お年寄りをベッドから車イスなどに抱き上げて移す際、介護者の腰に大きな負担がかかるが、この機器は、介護者の持ち上げる力をアシストし、腰への負担を軽くするもの。介護者が背中に背負い利用する。

 同交付金は、介護従事者の介護時の負担を減らす取組を支援することが目的。介護ロボットを使用すれば、介護従事者の負担は軽くなるが、高額なロボットは、介護サービス事業者にとって大きな負担。

 経費の一部を助成し、事業者のロボット導入を後押しするとともに、活用モデルとして、他の事業者にも導入を促すきっかけにすることが目的。

 今回の同制度活用に手を挙げた業者は、飯能市内では太行路だけだった。

 太行路は、常時介護を必要とする重度入所者が多く、腰への負担の大きい介護業務が少なくない。車イスとベッド間の移乗、入浴時の移乗などの際、腰を痛めて庇いながら業務にあたっている職員も多いという。

 こうした負担の軽減と腰痛予防のため、交付金の活用を申請した。

 太行路が選択したのは、東京理科大学発のベンチャーで、介護福祉用具の開発・設計などを行う東京のイノフィス製の「腰補助用マッスルスーツ・スタンドアローン」。

 コンプレッサーやタンクなどの付属物が不要なため、軽量で動きやすいタイプ。装着した使用者の力を最大25キログラムアシストできるという。

 太行路では、導入決定前にデモンストレーションを行い、使用感を確かめた。慣れが必要だが、長期的に体の負担軽減に役立つ機器と実感でき、また、同社のマッスルスーツが、平成27年に日本経済団体連合会会長賞を受賞していることも決め手となり、この機器2台の購入を決めた。

 定価で買えば、交付金額の上限を超えてしまうが、補助事業としての導入だったため、2台合計92万7000円で済み、交付金で賄えた。

 導入後、太行路では入浴の際の車イスから入浴用ストレッチャーへの移乗、中腰姿勢の多くなるおむつ交換などに、この介護ロボットを活用する方針。

 この機器を介護現場に投入することで、太行路では、職場環境の改善が図られ、介護の仕事に従事しようという意欲を持った人が増えることを期待している。