飯能河原の商業利用 観光協会、フィ社に内定

堰右岸の構築物跡に開設されたフィ社によるバーベキュー場

 飯能河原の河川敷を商業利用するための準備段階として「飯能河原利用調整協議会」(吉田行男会長)によって実証実験が試みられ、7月から堰付近に民間によるバーベキュー場が開設されるなどしたが、同協議会はこの実証実験の結果を基に、平成29年度からの河川敷利用者について、同実験に参画した2者を選定することが合理的との判断を下した。

 22日開かれた第3回会合で意見集約した。今後、同協議会は2者から飯能河原で実施する事業内容の提案を受け、来年2月中旬開催予定の次回会合で正式決定する。

 実証実験が実施されたのは、図書館下公衆トイレ前のウッドデッキと、その上流にある堰の右岸側構築物跡地。

 ウッドデッキでは、奥むさし飯能観光協会(柏木正之会長)がデッキスペースの貸出を行い、堰付近では宮沢湖にムーミンテーマパークを開園するフィンテックグローバル社(東京都港区虎ノ門、玉井信光社長)が、常設バーベキュー場の運営と河原利用者に食材をデリバリーする「リバランタ」を開設した。

 実証実験の期間は、利用者にバーベキュー用の食材を提供するなどの営業展開をしたリバランタが7月から10月末まで。奥むさし飯能観光協会については、7月から11月20日までの間で実施した。

 埼玉県を代表する清流、入間川の飯能河原で、手ぶらで楽しめるバーベキューを売りにしたリバランタは、テント常設エリアでの牛リブロースや豚ロース肉などの肉400グラム、飯能野菜がバイキング方式で用意されるなどした「アルフェイム」、河原利用者への食材運搬の「デリバリー」、提供する肉の量を半分の200グラムにした「レディースプラン」など各種メニューを用意して人気を呼び、期間中は主に市外から足を運んだ約5180人が、いずれかを利用した。

 総営業日は118日で、うち、27日間は雨天により営業を取り止めた。

 イベントなどを企画している団体を対象に有料貸出したウッドデッキについては、学生映画の撮影、飯能産ビールの販売などに利用され、観光協会は約5万6000円の使用料を得た。奥むさし飯能観光協会によるデッキスペースの貸出料金は物販が伴わない場合が1時間500円となり、以外は倍額の1000円。

 今回の飯能河原利用調整協議会では、実証実験の実施報告とともに、平成29年度からのウッドデッキ、堰付近構築物跡地の利用者をどうするかなどについて協議。結果、同協議会は実証実験実施者を選定することが最も合理的と意見集約を図った。

 ウッドデッキの活用について、「多様な団体による活用が図られ、今後もこのような活用が効果的と考えられるため、特定の営利団体でなく、奥むさし飯能観光協会が望ましいと考える」。

 堰を中心としたエリアについては「飯能河原に新たな客層の誘引という点において、フィ社は成果を得ており、このエリアの商業展開における情報についても保有している」などと結論付けた。

 これまで公共利用しか認められていなかった河川敷利用。しかし、平成23年の国の規制緩和によって市町村が中心となって協議会を立ち上げ、商業利用する区域について知事指定を受ければ、民への道が開けた。

 このため、市主導により河原周辺の4自治会、飯能地区まちづくり推進委員、飯能商工会議所、奥むさし飯能観光協会、フィンテックグルーバル社、県、市などにより飯能河原利用調整協議会が設置。地域創生に繋げるべく、飯能河原の商業利用について膝を交えているもの。