「あけぼの森の店」が閉店 惜しむ声多数

閉店したあけぼの森の店。後方は、あけぼの子どもの森公園

 宮沢湖へのムーミンテーマパーク開業時期が正式決定し、沸く飯能市だが、その一方で、品目多彩なムーミン関連のグッズを扱う店舗として埼玉県内でも珍しかった、阿須運動公園内の「あけぼの森の店」が、先月末にひっそりと閉店した。

 同店の売り上げは、ここ数年右肩上がり。約150万円を記録した日もあったほど。「この店に来れば、ムーミンの小物がたくさんあってわくわくした。無くなってしまい残念」と惜しむ声は少なくない。

 あけぼの森の店は、フィンランド童話をモチーフにした「あけぼの子どもの森公園」の入り口に、平成11年4月オープンした。公園に遊びに来ても、お土産や記念になるような施設の関連商品が購入できないなどいった来園者の要望に応え、公園設置者の市が木造平屋建ての店舗を建設した。

 店舗運営するのは、飯能商工会議所と市商店街連盟が出資し、法人化した「(有)フォレストバレー」(山﨑英夫社長)。

 商工会議所は、市から店舗での物販の相談を持ち掛けられたが、組織の性格上、営利目的の活動が法律で禁止されているため、店舗運営をする法人を両者で立ち上げた。

 販売品目の目玉は、何んといってもさまざまなムーミングッズ。ムーミン童話に登場する妖精たちが描かれたマグカップ、皿、タオル、ボールペンやノートなどの文房具、さらにはクッキー、キャンディー等々。

 大人が6、7人も入れば身動きが出来ないほどの面積わずか約20平方メートルの店内には、ファン垂涎の小物がずらりと並んで来店者を魅了した。

 また、団子やまんじゅう、木工品といった地場製品も人気を集めた。

 ただ、運営は順風満帆ではなかった。公園内に立地する施設の平成12年の火災被害、さらには同20年頃の施設改修による約半年間に及ぶ入園制限などでは、影響をもろに受けて売り上げが激減。パート雇用している販売員の人件費もあり、「役員が店じまいを考えるほど深刻だった」(商工会議所担当職員)という。

 売り上げがV字回復したのは、5年ほど前から。品揃えの豊かさとともに、ムーミン童話作者のトーベ・ヤンソン生誕100年を記念した国内での原画展開催といったイベントなども後押した。さらに宮沢湖へのメッツァ誘致も追い風に。

 「ムーミンファンが公園に戻って来たこともあり、毎年200万円ずつ売り上げが伸び、ここ3年は1年間の売り上げが2000万円を超えました」と、会議所担当者は話す。

 フォレストバレーは、建物を市から有償貸与されており、1年ごとに市と契約更新を行っている。しかし、今年になって市から突然、契約期間を1年から半年に短縮したいとの打診が。

 フォレストバレー側は市に再考を求め、両者間の話し合いの結果、12月末までの開設で合意。備品の片付け等もあることから11月末で17年間に及ぶ営業に終止符を打った。

 市の店舗賃貸の取り止め理由は不明だが、会議所担当者は「公園としての機能が弱まるのでは」と危惧する。が、17年間の営業について「大勢の方々に愛されてきた店舗。今は、感謝の気持ちでいっぱい」と話している。

 宮沢湖へのムーミンテーマパーク開業時期の発表をニュースで知り、あけぼの子どもの森公園

にやってきたという、都内在住30代女は「ムーミンの小物が買えると聞いていたので、閉店したのは残念」と惜しんだ。