電子マネー被害を防止 コンビニ店長へ感謝状

福島署長から感謝状を受け取る本杉さん

 店を訪れた男性客から「11万円分の電子マネーのギフトカードが欲しい」との相談を受け、振り込め詐欺を看破し被害を未然に防いだとして、飯能署はセブンイレブン飯能橋場店(飯能市双柳)の店長・本杉夏月さん(27)へ感謝状を贈った。

 本杉さんは9日昼頃、店を訪れた40代男性から「電子マネーのギフトカードはどこにあるのか」と尋ねられ、売り場へ案内。購入希望額を聞くと「11万円分」と答えたことから、すぐさま振り込め詐欺を疑った。

 「間違っていたら申し訳ないのですが」と、本杉さんが購入理由を確認すると、男性は「知り合いに電話で頼まれた」と回答。確認のため先方に電話してもらうがつながらなかったため、詳しく事情を聞くと、携帯電話に有料動画サイトの利用料金を請求するメールが送られ、書かれていた電話番号にかけたところ、相手から至急11万円を電子マネーのギフトカードを購入して支払うよう要求されたという。

 本杉さんは振り込め詐欺の可能性が高いことを男性に説明し、すぐに飯能署へ相談に行くよう説得。男性は飯能署へ赴き、振り込め詐欺だったことが判明した。

 今年に入り、インターネット有料サイトの利用料を口実に「支払わなければ訴訟を起こす」などと告げ、コンビニや量販店で販売されているプリペイド式の電子マネーを購入させ、番号を教えさせる手口の詐欺が全国的に急増。

 飯能署管内の今年12月20日現在までの振り込め詐欺は24件あり、被害額は約4000万円。うち11件がこうした架空請求詐欺という。

 同署で本杉さんに感謝状を手渡した福島謙治署長は「こうした手口の振り込め詐欺が増え、年齢や男女を問わず被害に遭っている。そのような中で被害を未然に防いで頂いたことは大変ありがたい。我々としてもコンビニエンスストア等への犯罪情報の提供に努めたい」と感謝を述べた。

 本杉さんは「相手の方に不快な思いをさせないよう心掛けた。店としてお客様のお金を守ることができ嬉しいと思う反面、これまでにも見過ごしていた可能性もある。感謝状を励みに、より一層防犯意識を高めたい」と話した。

 感謝状贈呈式には、同店オーナーの清水明さん(65)も同席。清水さんが経営する柳町の飯能駅北口店でも今年5月、多額のギフトカードの購入を希望する人やインターネット代金の未納金を振り込みたいとする人から店員が事情を聴き、2度にわたって振り込め詐欺被害を未然に防ぎ、感謝状贈呈を受けた経緯がある。

 清水さんは「日頃からお客様とのコミュニケーションを取るとともに、過去の事例を参考に店舗同士で連携を図り、犯罪防止を心掛けている。地域全体の注意喚起につながれば」と話している。