里親で得られる感動 セミナーで意義を講演

自らの体験談を語る横田さん(右)と本山さん

 親をなくしたり、様々な理由で親と暮らせない子どもを温かい家庭環境で育てる里親制度を、国は今年6月に児童福祉法を改正し推進している。飯能市も、人権セミナーの一環として、2日に里親制度の意義を考える講座を開催し、里親の重要性を市民に説明した。

 里親制度は、父母の死亡・行方不明、養育拒否、児童虐待などの理由で、家庭で生活できない子どもたちを、里親が家族の一員として迎え入れ、温かい愛情と、家庭的な雰囲気の中で育てていく制度。

 児童虐待や、経済的な理由などで、こうした子どもが近年増え、里親の必要性はより高くなっている。

 子どもたちを社会的に育てる制度としては、他に児童養護施設などがある。しかし、同施設の場合、職員はケア技術を持った専門家は多いが、職員の異動退職などもあり、親子のような継続的な信頼関係を築くことは難しく、地域住民との近所付き合い、親戚付き合いなども困難。そのため、一般的な家庭環境と同様に、子どもに愛情を持って育ててくれる里親が、多く求められている。

 埼玉県(さいたま市除く)には、家庭で生活できない子どもが1500人以上いるが、10年前は、10%前後だった里親委託率は、近年上昇、昨年度は16.7%に。国や県は、将来的には3分の1まで引き上げることを目指している。

 この日開かれた人権セミナーでは、所沢児童相談所の本山浩司さんが、里親制度の意義と概要について講演し、所沢里親会会長の横田輝子さんが、里親体験から得られる感動、喜び、だいご味などを語りかけた。

 里親制度に興味がある飯能市民約20人が参加。真剣に横田さんらの話に耳を傾けていた。

 飯能市と飯能地区里親会などの共催で来年1月14日、同市山手町の同市子育てセンターを会場に、里親入門講座が開かれる。

 今は、里親への様々なサポート体制が充実してきているので、「子どもが大好き」「里親について知りたい」と考えている市民に、気軽に参加してほしい、と同市などでは呼び掛けている。

 問い合わせは同市子育て支援課支援相談担当978・5627へ。