徘徊高齢者を保護 伝言板システム導入へ

保護対象者情報が表示された伝言板の画面

 日高市は、認知症などの高齢者が徘徊して行方不明となってしまった場合、あらかじめQRコードを衣類にプリントしたりシールを張っておくことで、発見者がスマートフォンなどでQRコードを読み取ると伝言板を通じて保護者に居場所を伝えることのできる「徘徊高齢者伝言板システム」を1月から導入する。

 これまでにQRコードを通して発見者と市が連絡を取り合う方法は他市町村でも導入されているが、発見者と保護者が直接やり取りできるシステムの導入は全国でも初めてという。

 他の市町村で導入しているQRコード読み取り方式のシステムでは、発見者がQRコードを読み取った後、市役所に連絡し、市役所担当者が身元特定番号等をもとに身元確認を行って保護者に連絡を取る必要があった。しかし、この方法では夜間や休日など市役所の開庁時間外に対応しきれない、やり取りに時間がかかるなどの問題を抱えていた。

 日高市が導入するシステムの特徴は、スマートフォンなどでQRコードを読み取ると伝言板が開き、本人のニックネームや性別、身体的特徴、既往症、保護時に注意すべき点などあらかじめ登録しておいた保護対象者情報が表示され、発見者が現在の居場所等を入力すると、市と保護者あてにメールを自動送信。発見者と保護者の双方が直接やり取りできるため、保護者はいち早く高齢者を迎えに行くことが可能となる。

 QRコードの内容には本人の名前や住所、電話番号等の個人情報は入っていないため、個人情報漏洩のリスクも少ないという。

 市が保護対象者1人あたりに配布するのは、衣類へのアイロンプリントが可能な耐洗コードラベル(タテ2・4センチ、ヨコ5センチ)30枚と、杖や靴などに張ることのできる蓄光シール(タテ2・4センチ、ヨコ4・5センチ)10枚。

 対象者は、市内に住所があり、要介護・要支援の認定を受けた徘徊行動のある人、医師により認知症と診断された人など。希望する保護者に申請してもらい、当初は10人への配布を予定している。

 市内には要介護認定を受けている人が約2000人あり、在宅の認知症の人は400人程度と見込んでいる。担当する市長寿いきがい課は「事前準備は簡単な情報の登録と衣類等へのシールの張り付けのみ。発見時には発見者と保護者の双方で直接やり取りできるため、保護者は24時間いつでも素早く高齢者を迎えに行くことが可能となる」と話している。