官民一体で地域守る 「うぐせみ」ネットワーク

出席者と意見を交わす福島署長(右端)

 官民一体となって飯能・日高のテロ防止対策を進めるため、飯能署と管内の行政機関・民間団体が連携して組織する「飯能市・日高市テロ防止対策『うぐせみ』ネットワーク」の第2回総会が17日、飯能署で開かれ、関係者が出席し、国際テロ情勢や同ネットワークの活動報告、身近なテロ防止策についての意見交換などが行われた。

 同ネットワークは、東京五輪などの大規模な国際スポーツ大会や国際会議を見据え、首都圏に近く交通の便の良い飯能・日高にテロリストが紛れ込む可能性も考えられるとして、官民一体となった効果的なテロ防止策の推進を目的に昨年12月、県内の警察署で初めて結成された。

 飯能署、飯能市役所、日高市役所、埼玉西部消防局飯能日高消防署をはじめ管内の事業所や団体など17組織が構成員となり、両市の鳥として指定されているウグイス(飯能)、カワセミ(日高)を合わせ「うぐせみ」と名付け、鳥のように高い場所から広い視野で地域を見守り「テロを許さない街づくり」を目指している。

 主な活動は、テロの未然防止に関する情報の発信と共有、警察への不審情報の通報連絡の実施、テロ発生時の対処体制の整備、広報啓発活動などで、今年5月には日高市文化体育館ひだかアリーナを会場にテロ防止対策訓練を実施し、「イベント中の会場に毒劇物が散布された」との想定のもと、避難誘導や規制訓練、救出救護訓練などを行って万一に備えた。

 総会の冒頭、飯能署の福島謙治署長は「バングラディッシュの首都ダッカでのレストラン襲撃、フランスのニースで大型トラックが人混みに突っ込むなど、世界中で国際テロが発生している。インターネット等で原材料を簡単に入手して爆発物を作ることができる時代となり、決して海の向こうの出来事ではない」と情勢を説明。

 「我々は2020年の東京五輪を前に国際テロへの危機意識を高めていかねばならない。近接する霞ヶ関カンツリー倶楽部でもゴルフ競技が行われる。管内は東京に近く観光地として多くの人が行き来する。観光客に紛れてテロの輩が入り込む危険性もあり、出撃拠点として利用される可能性もある。テロは市民の結束を最も恐れる。テロを許さない環境づくりにご協力を賜りたい」と呼びかけた。

 谷ケ﨑照雄日高市長は「5月にはひだかアリーナで劇毒物が散布されたとの想定で訓練が行われ、それぞれの立場で何をしたら良いのかを確認する意味で貴重な訓練だった」と振り返り、「私たちが育った時代は住民同士が濃い関係にあったが、若い世代はそうした関係を求めたがらない。犯罪を抑止するには関係が濃い方が絶対に良い。また、各自治体でも空き家の増加が問題になっており、こうした空き家がテロの拠点になる場合もある。隣近所が顔見知りで、声掛けをしていくことが大切。情報を共有し大勢の市民の目で犯罪を抑止していくことが必要」と述べた。 

 その後、国際テロ情勢について詳しく説明が行われたほか、コンサート会場、スポーツ大会、花火などのイベント会場など人が集まる場所が標的となり、いつ起きてもおかしくないとの視点に立ち、爆発物の原材料となる化学物質の管理や販売に関する注意、不審者情報の提供への協力などについて出席者が意見を交わした。