中里社長(左)の熱心な説明に、上田知事は関心しきりだった

中里社長(左)の熱心な説明に、上田知事は関心しきりだった

 高い技術力で知られ、埼玉西部地域で唯一残った老舗織物業者「マルナカ」(飯能市川寺、中里昌平社長)に17日、上田清司埼玉県知事が「とことん訪問」した。同社は、明治元年創業、開業138年を迎えた市内でも有数の老舗。

 かつては、婦人服地など、汎用性の高い織物を生産。昭和46年ごろ、日米の繊維交渉の結果、海外から安い品物が大量に入るようになり、同社では、生き残りをかけ、高い技術力が必要な少量多品種な製品、特に柄が複雑な婦人服地などの生産に力を注ぐようになった。

 ファッション業界では、いまだIT化が進んでいなかった30年前に、社長自らがプログラムを作成。特殊な織りが可能なドイツのドルニエ社製織機を、同社は日本最多の40台も導入。デザイナーなどの多様な注文に応じられる技術力を蓄積してきた。

 その成果の一つとして、平成24年に開業した東京スカイツリー(東京都墨田区)のスタッフの制服の服地も手掛けることに。

 ブランド「ミナ ペルホネン」の皆川明氏(1967生まれ)のイメージを一から具現化。スカイツリーを模した黄色の三角が、空色の布地に映え、裏は空色の布地という複雑な構造でありながら耐久性の高い服地を作り上げた。

 中里さんは、「大変な仕事でしたが、スカイツリーに行ったとき、スタッフが、この服を喜んで着てくれていたのが強く心に残った」と、語る。

 知事のとことん訪問は、県内の実情を知事自らが、把握するための視察で今回が109回目、平成21年度からでは、飯能日高地区で、スガ試験機、ぬくもり福祉会たんぽぽ、協同組合フォレスト西川阿須工場、西武酪農乳業を訪問している。

 中里社長は、「日本から繊維産業をなくしてはなりません。そのためには、どんな厳しい要望にも応えられるような高品質な物を作り、世界レベルで考え、海外もターゲットにしていかないと生き残れません」と抱負を語った。