80年の歴史に幕 イチノ陶器が閉店

閉店するイチノ陶器

 飯能市仲町の広小路にあるイチノ陶器が今月、80年の歴史に幕を下ろす。店主の市野伸一さん(81)と妻の秀子さん(78)が切り盛りしていたが、高齢化や後継者不在を理由に決断した。伸一さんは「多くの方々に支えられ、ここまでやってこれた。長年のご愛顧、ありがとうございました」と話している。

 同店の創業は昭和13年10月。焼き物のまちである愛知県常滑市出身の先代・四一さんが東京の陶器販売店での修行を経て独立し、飯能で店を構えた。広小路に面した店内には、所狭しと陶器などが並び、正確な品数は伸一さんも数えきれないほど。

 「お客さんには実際に店頭で商品を触ってもらい、納得した上で購入してもらうというのが、うちのやり方。相手の顔を見ながら接客していたら、うそは付けないでしょ」と対面販売のスタイルを一貫。

 また、年に2回程店内に特設コーナーを設けてコレクション展を開き、利用者が陶器などの魅力に触れる機会を提供してきた。

 先月でちょうど80周年を迎えたが、「体が動くうちに、と考え店を閉めることにした。昔からの常連のお客さんと共に私たち夫婦も年齢を重ねてきた。色々な方との出会いや付き合いがあり、支えてくれた皆さんに感謝の気持ちでいっぱい」と感慨深げ。

 現在、店の入り口には閉店と共にセール実施を告げる張り紙が出ている。18日までは全品8割引、19・20日は9割引に。以降は「在庫状況によっては細々と店を開けるかもしれないが、今月末を目処に閉店の予定」とのこと。営業は午前9時半から午後6時まで。