土砂災害に用心 警戒区域多い飯能市

 県は土砂災害防止法に基づき、飯能市内で土石流や急傾斜地の崩壊のおそれがある土砂災害警戒区域など73か所を新たに指定した。

 これにより、市内の土砂災害警戒区域と危険性がより高い特別警戒区域は合わせて940か所となった。この指定区域数は、秩父に次ぎ県内で2番目に多い。

 今回新たに追加された地域は下赤工、虎秀、大河原、上畑、川寺、笠縫、落合、前ヶ貫、岩沢、阿須、中山など。

 土石流、急傾斜地崩壊、地滑りのうち、土石流発生の警戒区域は29か所(うち特別警戒区域20か所)、急傾斜地の警戒区域は39か所(同38か所)、地滑りの警戒区については5か所。これら指定区域内の居住者については市によって通知済み。

 土砂災害防止法は、国民の生命を守るため、土砂災害のおそれのある区域についての危険周知、警戒避難体制の整備などといったソフト対策の推進を目的に制定されたもの。

 土砂災害警戒区域に法指定されると、市町村は警戒区域ごとに市町村地域防災計画で、警戒避難体制に関する事項を定めることとされている。

 また、市長村長は地域防災計画に基づいて土砂災害に関する情報の伝達方法、土砂災害のおそれがある場合の避難地に関する事項その他を住民に周知させるよう努めることとなっている。

 一方、より危険性が高い土砂災害特別警戒区に指定されると、特定の開発行為に対する許可制、建築物の構造規制等が行われる。

 住宅地分譲や社会福祉施設などの開発行為については県知事の許可が必要になるほか、急傾斜地の崩壊が発生した場合に想定される衝撃に対して構造物が安全かどうかの建築確認が必要となる。

 知事は、建築物の所有者等に対して特別計画区域から安全な区域へ移転するなどの措置について勧告することができるが、現在のところ県内での勧告事例はないという。

 飯能市は市域の約7割が山林のため、沢の流域などが主に警戒・特別警戒区域に指定されている。

 新たな追加分を加えた土石流、急傾斜地、地滑りといった土砂災害警戒区域(特別警戒区域)数は土石流で348か所(うち特別警戒区域299か所)、急傾斜地で587か所(同581か所)、地滑りで5か所となっている。

 合計すると、土砂災害警戒区域940か所、うち特別警戒区域880か所で、県内2番目の多さ。