災害ボラセン支援 日高社協の小坂さん

被災地の益城町で災害ボランティアを前にオリエンテーションを行う小坂さん

 熊本地震で大きな被害を受けた益城町の災害ボランティアセンター支援を目的に、日高市社会福祉協議会(鯉沼文夫会長)は、県社協の災害救援職員派遣事業として主事の小坂翔海さん(27)を7月16日から22日まで7日間にわたり派遣した。

 小坂さんは、益城町社協が立ち上げた災害ボランティアセンターで全国各地から訪れるボランティアを派遣先に振り分けるなどの業務を担当、「全壊した住宅などの瓦礫の撤去が進まず、住民たちは大変な思いをしている。全国から訪れるボランティアの力が役立つ場面はまだまだある。継続した支援の必要性を感じた」と振り返った。

 日高社協は東日本大震災の際にも職員やボランティア派遣を行っており、今回、県社協の要請に応え、現地の災害ボランティアセンターの運営補助として職員を派遣した。

 益城町は役場周辺で多くの家屋が全半壊するなど大きな被害を受け、全国から多数の災害ボランティアが訪れている。

 社会福祉協議会が運営する災害ボランティアセンターでは毎日100人前後のボランティアを要請のあった現場に派遣し、住宅の瓦礫の撤去や荷物の運び出し、避難所となっている体育館や公共施設のトイレ清掃などの活動を行っている。

 小坂さんはオリエンテーションを担当し、災害ボランティアの新規参加者をテントに集めて活動内容や保険加入、危険箇所等の注意事項などについて説明、必要な用具の手配なども行った。

 北海道や沖縄、海外から訪れるボランティアもあり、テントなどで寝泊まりしながら復旧のために活動する姿に小坂さんは「助け合いの精神を実感した。嫌な顔ひとつせず、現場で汗を流す彼らの姿に感動した」と振り返った。

 現在もテントや車で生活する被災者が多く「被害の大きさを目の当たりにして驚いた。倒壊した家屋を解体し復旧するまでには相当の時間がかかる。災害ボランティアがやれることはたくさんある。今後も継続的な支援が必要と感じた。万一、近隣で災害が発生した際には今回の経験を生かしたい」と話している。

 日高社協でも、東日本大震災を教訓に平成25年度に「日高市災害ボランティアセンター設置・運営マニュアル」を策定。

 地震、豪雨、豪雪等の災害時に大きな被害が発生しボランティアによる支援が必要となった場合、市内外からボランティアを受け入れ、支援が必要な箇所へ紹介・派遣するための拠点となる災害ボランティアセンターの設置や運営方法をまとめている。

 マニュアルでは、大地震や河川の決壊等により市内で重大な災害が発生した場合、または住民の被災状況を考慮し災害救援ボランティアによる支援が必要と認められる場合、会長が日高市災害対策本部、埼玉県社会福祉協議会などと迅速に協議を行い、災害発生から72時間以内にセンターの設置を決定すると規定。

 センターの主な役割は、ボランティアの受け入れ、派遣ボランティアの種別、人数の振り分けなど被災地でのコーディネート、独自活動するボランティアや避難所へ直接来所したボランティアの把握、名簿の整理、ボランティアが不足する際、県などへの派遣要請など。

 また、その使命として①地元住民が自主的に復旧・復興できない部分、行政が取り組むことができない部分の復旧・復興支援を行う②原則として、被災住民の衣食住が確保され、仮設住宅の整備等により家族単位で一定の生活を営むことができるまでの支援を行う③復旧・復興の主役はあくまでも地域住民であり、センターは地域住民の力を引き出すための自立支援を行う──などとしている。

 マニュアルのほか、職員の参集・被災状況の確認、災害ボランティアの募集、センターの設備・備品・資材、組織や各班の活動内容・手順、センターの閉鎖などについて細かく記した災害ボランティア登録カード、ボランティアの心得などを記した配布資料も用意。

 近隣の社協と連携して設置訓練を実施するなどして万一に備えている。