一時帰国児童の体験入学 母親の母校で学校生活

クラスメイトと給食を囲むナウシカさん(右)

 日高市立武蔵台小学校(内田洋校長)で、一時帰国した児童の体験入学の様子をイタリアの新聞記者が取材した。

 同校の卒業生で現在、イタリアの声楽家として活躍する柳沼裕美さん(40)の娘・ナウシカさん(7)ら体験入学児童が教室で学ぶ様子を取材し、日本の特色ある学校生活に焦点を当てた。

 体験入学は、両親の仕事の都合や国際結婚などで海外に住んでいる児童が長期休暇などに日本へ一時帰国した際、日本の学校に通いその生活を体験するもの。

 国際社会が進むとともに、将来日本へ帰国するため子どもを学校に馴染ませたい、親の母国となる日本に親近感を持たせたいなどを理由に体験入学を希望する保護者は増加傾向にあるという。

 武蔵台小では今年度、7月までの間に1年、4年、6年の3学年で4人の体験入学を受け入れ、児童たちは数週間にわたり授業をはじめ、給食当番、教室の清掃、通学班での登校など特色ある日本の学校生活を体験した。

 1年の教室で学んだ柳沼ナウシカさんは、イタリア人の父と武蔵台出身で声楽家の母・裕美さんと共にイタリア・パルマで暮らし、今回、夏休みに合わせ一時帰国。

 担任教諭は「学校生活の違いに初めは戸惑いもあったようだが、すぐに馴染みクラスメイトとも打ち解けた」と話し、ナウシカさんは「絵を描くのが好き。友達もできた」と笑顔を見せた。

 同校卒業生となる母親の裕美さんは音大を卒業後、イタリアのパルマ音楽院に進み、コンクールで最優秀賞を受賞するなど活躍。現在は欧州各地でコンサートを行うとともに、ナウシカオペラインターナショナルを設立し、幅広い芸術活動やプロデュース活動に携わっている。

 一時帰国中、裕美さんはたびたび学校を訪れナウシカさんの様子を見守り「イタリアは3か月間の夏休みがあり、ぜひ日本の学校に体験入学をさせたいと思っていた。自分の母校で快く受け入れて下さり、本当にありがたい。登下校の際、イタリアは親が送り迎えするが、日本は通学班が当たり前。また、給食当番や掃除を通して、自主性が身についてきた。娘にとっては両方が母国。日本とイタリアの良い所を学び取って育って欲しい」と話した。

 同校の体験入学の様子を取材に訪れたのは、イタリア経済新聞の東アジア特派員、カレール・ステファノさん(53)。以前から柳沼さん一家と親交があり、体験入学の取材を通して、日本の学校生活の様子を紹介したいと申し出た。

 児童の様子や教諭へのインタビューなど熱心に取材を行ったカレールさんは「一番の驚きは子どもたち自身が学校の掃除をすること。もしイタリアだったら、“学校は勉強を教える場所なのに掃除をさせるなんてとんでもない”と保護者からクレームが出るかもしれない。でも日本では掃除も教育の一環と捉えている所がとても面白い」と関心を寄せた。