相次ぐ不審者情報 夏休み中の安全守れ

 飯能・日高で不審者情報が相次いでいる。4月から7月14日現在までの不審者・変質者の出没情報は飯能15件(痴漢2件含む)、日高9件の計24件。特に児童生徒が声をかけられる、つきまとわれるといった事案が多く、保護者の間で不安の声が高まっている。

 最近のケースでは不審者の出没は住宅地のすぐ近く、時間帯も日中が多いといった傾向があり、暗がりや人気のない場所とは限らない。夏休みを迎え、子ども同士での外出の際などは特に注意が必要だ。

 飯能・日高の不審者情報は県警からのメール等をもとに市が集計。24件のうち子どもに近づく不審者の情報で具体的な内容が分かっているものを分類すると、声かけ6件、つきまとい4件、露出4件だった。

 声かけ事案のうち、飯能では6月に双柳で女子児童が赤色の自転車に乗った男に「飴あげるよ」「ハイタッチしよう」などと声をかけられる事案が2日連続であり、日高では7月に入り森戸新田で下校途中の児童2人が60歳前後の男に「おじさんのところに行かない?」と声をかけられた。

 つきまといでは、日高の野々宮で下校中の女児3人が黒色サングラスとマスクを着用し水色の自転車に乗った男につけられた。飯能の東町では男児が車に乗った40~50代の女につきまとわれるというケースもあった。

 また、露出では男が児童生徒に下半身を露出するケースが飯能の岩沢や笠縫、川寺であり、日高の巾着田では河原で遊んでいた女児が全裸の男に声をかけられる事案もあった。

 こうした不審者の中には、同じような車や自転車に乗っていたり、似たような恰好をしていたりと、同一人物と見られるものも少なくない。

 昨年夏には、日高市高麗地区では白い仮面を被った男が小中学校や保育所付近に頻繁に出没し住民を騒がせた。

 この件については学校から通報を受けた飯能署員が現場で男に事情を聴取し身元を確認、厳重注意を行ったが、最近になり、同一人物と見られる男が今度はマスクやゴーグルを着用し、自転車に乗って出没しているとの情報が浮上。野々宮で下校時に女児の後をつけた男も、この人物ではないかとの声が寄せられている。

 7月に入り、娘やその友人と遊んでいる最中、この人物と見られる不審な男に遭遇した同地区の30代父親は「子どもたちと広場で遊んでいて、気付いたら近くに自転車に乗った男が立っていた。

 水色の婦人用自転車にまたがり、やせていて髪は長く、頭にサンバイザー、目には黒いゴーグル、口元はマスクで覆っていて顔は見えなかった。そのような恰好で何も言わず子どもたちの方を見つめていたので、気味が悪くなりその場を離れた」という。

 父親は「帰ってから妻や近所の人に聞いたら、“以前出没した仮面の男と同じ人物ではないか。身元は分かっているようだが、何もしていないので警察も捕まえることができないようだ”と言っていた」と話し、「確かに見ているだけだったが、もし子どもだけで遊んでいたらと思うと怖い」と不安の表情を見せる。

 市に寄せられた不審者情報を受け、学校は保護者に情報提供や注意喚起を行い、自治会によっては、役員らが防犯用の腕章や帽子を着用して地域を巡回するなどの活動を行っている。

 全国的に連れ去りや通り魔的な事件が起きた際、地域住民などからは「怪しい人物がいるのが分かっているのに、なぜ未然に防げなかったのか」との問題も指摘される。

 保護者の1人は「不審者であっても罪を犯していない人を捕まえることはできない、というのは分かる。でも、何かをする可能性が極めて高いのは間違いない。地域でもっと情報を共有して、子どもたちに身を守る方法を教え、周りの大人が見守りを強化していく必要がある」と話している。

 飯能署は不審者と遭遇した際の対応として、危険を感じたら大声で助けを呼ぶ、近くの店や家に逃げ込むなどして身の安全を守り、迷わず110番通報をするよう呼びかけている。