高麗郷を「遠足の聖地」へ ニーズ調査しコース提案

これからの季節は川遊び客で賑わう巾着田の河原

 日高市は、巾着田や日和田山などの高麗郷周辺を「遠足の聖地」として近郊の小学校などへ広くアピールするため、今年度、巾着田の堤沿いへの芝生の植栽や遠足来場者へのパンフレット、鉄道沿線へのポスター作成などを行い、学校関係者などへのニーズ調査を通して魅力あるモデルコースの提案を行う。

 遠足に訪れる学校にとって、巾着田は四季折々の花や高麗川の川辺など変化に富んだ表情を持ち、散策や休憩に最適。また、近くにある日和田山は山頂まで子どもの足でも1時間弱と手軽に登ることができる。

 高麗駅から徒歩15分と交通の便も良く、春から初夏、秋にかけて両者周辺をコースに近隣や都内などから多くの児童が遠足に訪れ、午前中に日和田山に登り、昼食時間に合わせて巾着田へ向かい散策や休憩を楽しむといったコースなどが定番となっている。

 市によると、遠足に訪れる小学校や幼稚園・保育所の数は年々増えており、巾着田管理事務所で受け付けた遠足の申し込み件数は、平成26年度は120か所・1万1397人、27年度は145か所・1万5055人だった。

 市担当者は「数字は申し込みのあった件数の集計であり、実際にはもっと多くの学校が訪れているのでは」と推察する。

 市はこれまで観光振興策として秋のマンジュシャゲ、春の菜の花の季節を中心に行楽客へのPRを推進してきたが、学校等へのアピールは特に行っていなかったことから、この遠足人気に着目。

 子どもたちの利用しやすい環境を整備し推奨コースを提案することで、より多くの学校等の来訪が期待でき、将来を見据えた新たな観光振興にもつながると、遠足の誘致を図る「遠足の聖地プロジェクト」を計画。事業費は国庫補助金の地方創生加速化交付金を見込んで627万円を計上した。

 今後、教育機関が遠足の行き先としてどのような場所を希望しているのかといった調査を行い、ニーズに合わせた遠足コースを企画し、近郊の学校などに遠足の誘致活動を行う。

 遠足来場者へのパンフレットや鉄道沿線等に掲示するポスターの作成を計画している。

 また、巾着田については堤の上の道路は車両も通行するため、児童たちが安全に移動・休憩できるよう堤の内側に幅4メートル、延長350メートルにわたって芝生を植栽する。

 周辺には市が所有する高麗郷古民家、民俗資料館、高麗神社、ブルーベリー農園などがあり、こうした観光資源と連携したコースの提案も検討。

 また、高麗川沿いでは現在、高麗川まるごと再生事業として遊歩道整備が進められていることから、巾着田を出発し川辺の遊歩道を歩きながら高麗神社方面へと向かうコースなども考えられる。

 市担当者は「近隣の学校などを対象に、遠足先にどのようのものを望んでいるのかといったアンケート調査を行い、利用しやすい環境整備に反映するとともに、魅力あるコースの提案をしていきたい」としている。