勃発から150年機に 「武州世直し一揆」学ぶ

集いを企画した実行委員会のメンバー

 勃発から150年を迎える「武州世直し一揆」の実像や当時の人々の願いについて学ぼうと「武州世直し一揆150周年記念集会~説経節と講演の集い」が11日、飯能市民活動センター(丸広飯能店7階)多目的ホールで開かれる。主催は同集会実行委員会、後援は飯能市教育委員会、日高市教育委員会。

 武州世直し一揆は慶応2年(1866年)6月13日に名栗、吾野、成木を起点として始まり、飯能川原に数百人の民衆が集結した。米の安売りや施金・施米、質地証文、借金証文の破棄を求めて、豪農や豪商の家などを打ち壊し、鎮圧されるまでのわずか7日間に関東各地に広がった。

 200か村、豪農・豪商の家屋など520軒が打ち壊され、参加した民衆は10万人にのぼったと伝えられる。

 実行委は「この事件は、将軍の膝元である江戸の近郊で起きた類を見ない大規模な一揆であり、幕藩体制に与えた衝撃は大きく、幕府の威信を揺るがし、その瓦解を早めた要因の一つとなった。しかし長い間、武州世直し一揆は暴徒がきっかけとなった暴動“ぶっこわし”と受け取られ、地元の不名誉な歴史としてタブー視されてきた傾向があったことは否めない」とし、勃発から150年を迎えるのを機に、改めて同一揆の実像を学ぼうと企画した。

 集会は2部構成。第1部は説経節「佐倉義民伝」として、説経節の演者として知られる三代目若松若太夫さんを招き、農民一揆の英雄として歌舞伎にも取り上げられた佐倉惣五郎の義民伝を披露する。

 実行委員会によると、武州一揆が起きた当時、八王子や奥多摩、埼玉県内では飯能出身の西川古柳が考案した車人形と結びついた説経節が普及し、佐倉義民伝が最も愛好されたという。

 第2部は国文学研究資料館名誉教授の森安彦さんを招き「武州世直し一揆について」と題して講演を行う。森さんは「幕末の社会変動と民衆意識~慶応二年武州世直し一揆の考察~」など武州一揆に関連する多くの執筆を重ねている。

 実行委は「武州一揆はこれまで、世直し運動としての側面を客観的に語られることはあまりなかった。150年目のこの時、改めてその事績に注目したい」としている。

 開催時間は午後2時から4時半まで。入場無料。問い合わせは、実行委員会・川中正憲さん982・5988へ。