防護服を着てペットボトルを回収する消防隊員

防護服を着てペットボトルを回収する消防隊員

 官民一体となって飯能・日高のテロ防止対策を進めるため、飯能署と管内の行政機関・民間団体が連携して組織した「飯能市・日高市テロ対策『うぐせみ』ネットワーク」は16日、日高市文化体育館ひだかアリーナを会場にテロ防止対策訓練を実施した。

 訓練には飯能署、飯能日高消防署、飯能・日高市役所から50人が参加し、「イベント中の会場に毒劇物が散布された」との想定のもと、避難誘導や規制訓練、救出救護訓練などを行って万一に備えた。

 「こちらはひだかアリーナです。本日はイベントを実施していますが、エントランス付近で人が数名倒れています。周囲は異臭がしています」──。

 訓練は、不審人物によりアリーナ入口付近にペットボトルに入った毒劇物らしき液体が撒かれたとの想定のもと、施設管理事業者が110番通報を行うと同時に、館内放送で利用者に館外への避難を促す場面からスタート。

 通報を受け駆けつけた署員は、避難者を誘導するとともに、市民が建物に近づかないよう周囲への広報を実施。続いて到着した消防隊は除染テントや救護エリアを設置し、避難者の救護を開始した。

 上空で県警ヘリによる情報収集が進められる中、現地指揮本部が設置され、防護服を着用した消防隊員が検知活動を実施して危険区域「ホットゾーン」、除染区域「ウォームゾーン」への進入規制を図り、その後、重症者の搬送と除染、毒劇物の入ったペットボトルを回収し、密閉容器に入れて搬送するまでを行った。

 訓練は終始緊迫した雰囲気の中行われ、設置された除染テントでは重症患者などへの除染作業が細心の注意を払って進められた。

 同ネットワークは、サミット等の国際会議や2020年東京五輪などの大規模な国際スポーツ大会を見据え、首都圏に近く交通の便の良い飯能・日高にテロリストが紛れ込む可能性も考えられるとして、官民一体となった効果的なテロ防止策の推進を目的に、昨年12月、県内の警察署で初めて組織された。

 飯能署、飯能市役所、日高市役所、埼玉西部消防局飯能日高消防署をはじめ管内の民間団体や事業所が構成員となり、両市のシンボルの鳥、ウグイス(飯能)、カワセミ(日高)を合わせ「うぐせみ」と名付けた。

 鳥のように高い場所から広い視野で地域を見守り、「テロを許さないまちづくり」を目指すとしている。

 主な活動は、テロの未然防止に関する情報の発信と共有、不審情報認知時の警察への通報連絡の実施、テロ発生時の協働対処体制の整備、広報啓発活動などで、訓練の実施は今回が初めて。

 伊勢志摩サミットを間近に控えての開催となり、飯能署の福島謙治署長、飯能日高消防署の松本義夫署長は「サミットでは会場周辺に警備が集中し、離れた場所でのテロも考えられる。飯能・日高は首都圏から近く、他人事ではない。4年後には東京五輪も控えている。今回の訓練は関係機関と連携を図り、やるべきことを一つ一つ確認しながら対処ができたと考えている。こうした訓練を積み重ね万一の有事の際に対応できるようにしたい」などと述べた。